Japan Association for Medical Informatics

[2-P-5-01] Hファイルで入院患者の転倒要因を分析する

*Tomoko @Kumamoto University Nakanishi1, Yoshinori @Kumamoto Yamanouchi1, Tokunori @kumamoto Ikeda2, Taishi @Kumamoto Nakamura3, Koichiro @Kumamoto Usuku3 (1. 熊本大学大学院医学教育部 医療情報医学講座 博士課程, 2. 崇城大学薬学部臨床薬理・治療学研究室, 3. 熊本大学病院医療情報経営企画部)

Fall Risk, Nursing Care , inpatients, prediction

【要約】入院治療に伴う高齢者の転倒は、老年症候群への移行や入院の長期化で患者のQOL低下を招きやすいため、病院における転倒予防の責務は大きい。 我々は2019年に実施した転倒予測の分析から、看護師が実施するスクリーニングにある37因子の予測因子のうち、転倒歴、せん妄、歩行補助具の使用、ふらつき、判断/理解力の低下、下肢の筋力低下、夜間排尿、睡眠薬の使用、および点滴/チューブの9項目が重要因子と考えた。今回、臨床症状から危険度をスコアリングする以外に、Hファイルのデータが、転倒リスクのある患者を特定できるかについて検討した。【 方法】2020年~2021年に入院した患者のインシデントレポートとHファイルのデータから統計解析し、非転倒群と転倒群の間で、ロジスティック回帰分析とピアソンの相関係数で確認し、入院場面の転倒予測を検討した。 【結果】一般病棟の 入院患者157,844名中転倒205件あり。男性が121名(59%)で、転倒発生日は入院10日目が中央値であった。転倒転落の有無を従属変数とし、Hファイルのデータを独立変数としたロジスティック多変量解析では、「衣服の着脱全介助(OR2.9)」「危険行動(OR2.7)」「移乗全介助(OR2.3)」「移乗一部介助(OR2.0)」「衣服の着脱一部介助(OR2.0)」」「診療・療養上の指示が通じる(OR1.9)」であった。さらに、ロジスティックモデルの予測確率によって誘発された受信者動作特性(ROC)曲線ではAUC7.5で、後方ステップワイズ赤池情報量基準(AIC)法によって選択された共変量のROC曲線分析下ではAUC7.1であった。【考察 】電子カルテにあるインシデントレポートとHファイルのデータから、転倒予測が可能か統計解析を行った。転倒予測の判別に、重症度、医療・看護必要度のB項目は、多職種で利用可能な情報と思われた。