Japan Association for Medical Informatics

[3-B-2-03] AIを活用したDXのハイブリッド看護の新時代

*TAKAYASU KAWAGUCHI1 (1. Iryo Sosei University )

Artificial Intelligence, Digital Transformation, Telenursing

AIブームは、1956年のダートマス会議(Artificial Intelligence (人工知能)に興味を持った人たちの集まり)が始まりでした。今回のAIブームは第三次ブームと位置付けられています。私がAIに魅せられたのは、「学習して蓄積されたデータを分析することで未来予測の方向性の一助となる」という点です。未来を予測する点では統計学の数量化理論もその一つです。AIが、統計学の進化系ならば、人間側は、未来のあるべき目標を見据えた活用を、経験知に基づいて慎重に行うことがとても重要になります。この思いに至るには理由として、私が指導した大学院生の研究の取り組みにあります。私たちは、ベッド上で療養中の患者が不穏状態になる予兆を知りたいと考え、ベッド上で想定される体動を、AI(ニューラルネットワークやSVM)を用いて学習させ、その予測可能性を検討しました。私たちの仮説は、ベッド上での体動をより多く学習することで予測の確率は増すと思っていました。しかし必要最小限の説明変数にした方が予測の確率は高い結果でした。細かく分けた学習の集積より、単純で少数の変数から得られた結果と人間との共同判断の方が予兆をとらえやすい結果となりました。 このシンポジウムのテーマは、「DXが、これからの看護に及ぼす影響」です。society5.0が「サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムの形成」であるならば、「AIと人間」、「デジタルとアナログ」、「理系と文系」をどのように融合させ、人間がどのように意思決定していくかの問いでもあります。しかし一方で、政府の教育戦略では、<「読み」「書き」「そろばん」>から<「数理科学」「データサイエンス」「AI」>へのシフトによって新たな世界の在り方を構築するような方向が示されています。 看護問題の解決は、人間の多様性や個別性を尊重しながら、創造性をもって人間味のある介入を行うことが求められます。DXとAIを考えたとき、人類の未来に向けた新たな社会の方向性を、どのように創造していくかは全ての学問に求められている問いです。本シンポジウムでは、私が取り組んでいる遠隔看護(Telenursing)をネタに、本題であるDXとAIの観点から看護新時代の在り方を皆さんとともに考えたいと思っています。