Japan Association for Medical Informatics

[3-C-1-04] Development of elderly behavior library for understanding risk situation in daily life by integratively utilizing multi-organizational distributed data

*Koji Kitamura1, Yoshifumi Nishida2,1 (1. National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 2. Tokyo Institute of Technology)

Elderly behaviors, Physical function, Cognitive Function, Injury Prevention

日常生活は多様性と個別性の高さから、科学的なアプローチで環境とそこで生活する人を含めて扱うことが進んでおらず、様々な課題が生じている。例えば、高齢者は、加齢、疾病、傷害などによって、身体機能や認知機能といった生活機能が変化し、それまでの日常生活が難しくなったり、事故のリスクが高い状況で生活を送っている状態になったりする。日常生活でのリスクは、事故に関するデータなどから、高齢者は段差でつまずいて転倒する、階段から転落する、などのように高齢者という一括りでまとめられることがほとんどで、生活機能や生活環境に合わせてリスクを把握することはできていない。一方、近年のIoTやAI技術の発展から、日常生活空間で自然な生活状態をセンサなどによって定量的に捉えることが可能となっており、日常生活が科学で扱える対象となってきている。しかし、事故などの様々なリスクは、高頻度で発生するわけではないため、日常生活をセンサなどで計測しても、実際に発生したリスク状況を捉えることは難しい。そのため、実際に事故が起きた際のデータと日常生活のデータを統合的して扱い、あり得るリスクとして、潜在的なリスクを把握し、介入や予防につなげる必要がある。
著者らはこれまでに介護施設や一般住宅にRGBDカメラを取り付けることで、高齢者の日常生活を記録した、高齢者行動ライブラリを整備してきた。このライブラリでは、高齢者の身体機能や認知機能を表す指標を合わせて記録しており、生活機能の特徴と実際の生活行動の関係を把握することが可能である。リスクに関するデータとしては、東京消防庁の救急搬送データがあり、生活行動のデータと救急搬送データを状況の類似性から統合することで、潜在的なリスクを可視化する取り組みを行っている。本発表では、多機関に分散したデータのセキュアな統合的利活用の観点も含めて、この取り組みについて紹介する。