Japan Association for Medical Informatics

[3-C-2-04] 標準バーコード(GS1)利活用による医薬品の安全管理

*Ryo Suzuki1,2, Masatoshi Sugita1, Tomofumi Yamaguchi1, Takao Orii2, Toshiaki Kato2 (1. NTT東日本関東病院 医療安全管理室, 2. NTT東日本関東病院 薬剤部)

Barcode, Patient Safety, Incident

【目的】 NTT東日本関東病院(以下、当院)では、医薬品の入庫時に元梱・販売包装単位にソースマーキングされたGS1バーコードを用いている。しかし、調剤、調製時等には調剤包装単位のバーコードを利用していない。本研究では薬剤関連業務におけるバーコード利活用の現状と今後の課題について検討する。【方法】 2019年10月から2021年3月までの期間に医療安全管理室に報告されたインシデントレポート8,708件(疑義照会・質疑応答を除く)の中から薬剤に関わるバーコード、ラベル、照合等の報告を対象とした。【結果】 調査期間中の対象報告件数は579件(6.6%)であった。この中でバーコードの利活用によりインシデントを回避できると想定された報告は160件(27.6%)、内訳は注射剤80件、内服・外用薬80件であった。注射剤80件のうち19件(23.8%)は、調剤包装単位のバーコードを利用するだけではインシデントを防ぐことが困難であった。内服・外用薬では80件のうち53件(66.3%)は、調剤包装単位にバーコード表示がない、一包化や粉砕などでPTPシートから取り出された、あるいは切り離されているなどの理由でバーコードの利活用が難しいと考えられる報告であった。【考察】 インシデントの原因として、注射指示に基づいて発行する院内バーコード(ローカルコード)を印字したラベル貼付時の人手介入、医薬品の認証にGS1バーコードを利用できていないこと等が挙げられた。調剤包装単位のバーコード全てに製造番号、使用期限が印字されれば、病院内における入庫(上流)から払出し、患者への使用から廃棄(下流)までのトレーサビリティがより正確に可能となる。このような取り組みにより、医薬品に関わる安全管理体制の確立とともに、医薬品に係る業務のDx化に効果が得られると考える。