Japan Association for Medical Informatics

[3-F-1-05] 医療系学生へのCPR訓練システムを用いた実験研究の検討

*Tomoki Kuriyagawa1, Akinori Minaduki1 (1. 釧路公立大学)

CPR, Simulator, High-Quality CPR, BLS, Medical staff Education

Basic Life Support(BLS)は医療系学生にとって重要な実践のひとつである.心肺蘇生法(以下 CPR)は,心停止者の救命のチャンスを逃さないための「救命の連鎖」の開始点である.しかし,CPRの姿勢についてはガイドラインに明記されているものの,訓練時にリアルタイムで客観的な姿勢評価をすることは指導者資格を有していても困難である.この課題に対して本研究では最新デバイスのAzure Kinect DK(以下,Kinect)を用いて,被験者の正面と側面の2方向からCPR時の上肢・下肢の姿勢を捉え,評価が可能なシステムを開発して実験した.
 CPRの姿勢変化の入力検知センサーデバイスとして用いた Kinectは, NUI(Natural User Interface)用入力センサーデバイスである. CPRの訓練時の姿勢の動作(形;カタ)の抽出,そして判定アルゴリズムの開発には,CPR を実施する際の身体全体の入力を行う追跡検知の処理,ユーザーインターフェース化が必要不可欠である.動作の追跡検知に使用する入力デバイスは,既存のキーボードやマウスではCPR 訓練のシステム構成の要件に適さない.よって本研究では,Kinectを使用して,CPR 訓練時の身体全体を入力・追跡検知することで,身体全体から部分(肘,肩など)の変動を抽出し,CPR の姿勢の形の正誤判定を行うシステムを開発した.
 開発したCPR訓練システムの被験者は,CPRの指導を受ける機会が少ない事業所社員および非医療系学生と医療系学生を対象とした. 事業所社員を対象とした2群の実験結果では,両群を合わせて44人の姿勢総合点と圧迫回数を分析すると,相関係数0.662という値を示し,なお1群の実験対象者では相関係数0.888を示した.登壇時は, 非医療系学生と医療系学生の実験結果および医療者へのCPRスキルチェック教育ツールの提案について報告する.