Japan Association for Medical Informatics

[3-F-2-01] 画像レポート見落とし防止対策機能の標準実装に向けた取り組み

*Toshihiro Takeda1 (1. Department of Medical Informatics, Osaka University Graduate School of Medicine)

Patient Safety, Hospital Information System, Standard Function

一部の医療機関では、画像レポート見落とし防止対策に病院情報システムが活用されている。今後、より多くの医療機関で画像レポート見落とし防止対策に病院情報システムが利用されるためには、各電子カルテベンダーで見落とし機能の標準機能実装が望まれる。 我々は、医療安全に資する病院情報システムの機能を普及させるための施策に関する研究班で画像レポート見落とし防止対策として有効なシステム機能を検討し、保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)、日本画像医療システム工業会(JIRA)の議論を行った上で、令和元年12月に厚生労働省の事務連絡により検討内容が公表された。公表では、「画像診断レポート、病理診断レポートの見落とし防止に向けて記載すべき仕様書項目」が、「機能として実装の必要性」と「実現が期待される時期」と合わせて提示された。 こうした活動が、医療情報システム開発ベンダーに対し、どのように影響を及ぼしたかを評価するために、令和3年3月に医療情報システム開発ベンダーに対してアンケート調査を実施した。アンケートは、研究班で設定した仕様項目に対して、「事務連絡時点で既に実現されていた」、「現時点で実現している」、「現在開発中で近い将来実現する」、「まだ、開発の予定が立っていない」、「提供システムの範囲外」の中から選択してもらい、これを集計した。全体としては、徐々に実現される項目範囲が広くなり、実施するベンダー数も増える傾向が認められ、本活動が医療情報システム開発ベンダーに対して強く影響を及ぼしたものと考えられた。しかし、対応の様子はベンダー毎に大きく異なっていた。 今後、各医療機関がシステム更新を迎えた際に、公表した仕様項目に従い仕様を要求していくことで、機能実装に前向きでないベンダーに影響を及ぼし、これらの機能が広く浸透することを期待する。