Japan Association for Medical Informatics

[3-F-3-04] 在院日数の二段階予測とその要因分析

*Shun Kuwabara1, Atsuyoshi Matsuda2, Kenji Araki3, Kazuhide Nakata1 (1. 東京工業大学 工学院, 2. 株式会社ログビー, 3. 宮崎大学 医学部附属病院)

Length of Stay, Electronic Health Record, Data Mining

現在の日本の医療における問題点として、国民医療費の増加が問題となっている。そのため、国民医療費の増加を抑える為に医療資源の有効活用が求められている。さらにDPCの導入により、入院時の診療報酬が出来高制から包括評価制度に移行し、病院経営の観点からも患者を長く入院させることは避けるべきことになっている。このような背景から、本研究では医療資源の効率的な活用と患者の在院日数短縮の為に、在院日数予測モデルの提案と在院日数が増減する要因分析を行った。この中で特に三つの課題が存在した。一つ目は入院日数のばらつきが大きいことである。データの中には様々な状態の患者が含まれており、同じ傷病の他の患者に比べて極端に在院日数が長い患者も存在する。二つ目は多くの種類の病気を扱う必要があるという点である。これらをカテゴリカルデータのまま使用すると、要因分析が困難になることが予想される。三つ目は予測精度と解釈性の両立の必要性である。一般的に予測精度の高いモデルはブラックボックスになりがちで、逆に解釈性の高いモデルは予測精度が低くなりがちである。それらの課題に対して、本研究では二段階での在院日数予測、LDAを用いた特徴量変換による予測に対する解釈、SHAPを用いた分析を組み合わせて行うことで解決した。数値実験では、提案モデルは他の手法で在院日数を予測するよりも、予測値と実際の入院日数の平均絶対誤差において改善が見られた。また、LDAを用いて傷病の特徴量を変換したことにより予測精度の改善とSHAPを用いた解釈が行いやすくなることが確認できた。SHAPを用いた入院日数の要因分析では、医療の知見に即した特徴量とSHAP値の関係を確認することに成功した。これにより、医療資源の効率的な活用と、在院日数の長期化を防ぐ為の取り組みが進むことが期待される。