Japan Association for Medical Informatics

[3-G-1-04] 統合診療データを用いたAIによるアウトカム予測と診療サマリ生成に向けた検討

*Taiki Furukawa1, Shintaro Oyama1, Kikue Sato1, Ryuji Kano2, Shotaro Misawa2, Hirokazu Yarimizu2, Yoshimune Shiratori1 (1. 東海国立大学機構名古屋大学 医療健康データ統合研究教育拠点(C-Hit), 2. 富士フイルム株式会社)

integrative data analysis, machine learning, CITA

[背景と目的]
診療文書の作成にかかる医師の負担は大きく,特に週1回程度の診療サマリ作成業務は負担が大きい.また近年,院内診療データを用いた院内死亡予測や退院予測による急変予知や早期対応,治療効果予測による個別化医療の推進が期待されている.
このような文書作成や診療予測の支援を行うためには,院内診療データを統合して用いることが必要である.
本研究では,統合診療支援プラットフォームCITAで集約された院内データを用いて,院内死亡など複数の臨床的に重要なアウトカムを予測するアルゴリズムを作成し,臨床的に重要な要素を自動抽出して診療サマリを自動生成し臨床医に提示するシステムの構築を検討している.
そこでPoCとして,全診療科で診療する急性期疾患かつ日本人の死亡原因第5位である肺炎を対象に,臨床的なアウトカムを予測するAIアルゴリズムを構築する.
[方法]
2018年11月から2020年12月に名古屋大学医学部附属病院に入院した肺炎患者についてCITAから統合診療情報を抽出した(患者数: 722例).得られたデータについて、ランダム分割により症例毎のトレーニングとテストセットを作成した.その後,入院当日と入院初期評価時で各種予測を行うAIアルゴリズムを構築した.フリーテキスト形式のデータはベクトル化して解析を行った.予測アルゴリズムはAUCを用いて精度を評価した.
[結果]
予測アルゴリズムに用いる入力データ種別を組み合わせる事で,臨床的に有用な予測子を同定した.同定された予測子は臨床医学上も重要な因子であった.
[結語]
統合診療データを用いる事で,臨床的に重要なアウトカムを予測する機械学習モデルを構築し,臨床的に重要な予測子を同定した.得られた予測子は臨床医学上も重要な項目であり,診療サマリの自動生成アルゴリズムの構築可能性が示唆された.