Japan Association for Medical Informatics

[3-G-2-01] Virtual Reality(VR)技術を高齢者に使用する際の課題についての検討

*Makoto Sawada1, Yasuko Muraki2, Motoharu Takao3, Takeshi Suzuki1 (1. 東海大学医学部医学科外科学系麻酔科学, 2. 東海大学大学院医学研究科先端医科学看護学, 3. 東海大学情報理工学部情報科学科)

Virtual Reality, Aged, Side Effect

VR技術は近年医療への活用が推進されている。しかしVR技術はハードウェア(HW)やソフトウェア(SW)上の制約が存在するがその知見は乏しい。当チームは高齢者の身体的・精神的活動向上を目的にVR技術を用いたSW開発を行っている。身体的活動向上としてボートによる川下りや空を羽ばたくことによる上肢運動を目的としたSWを開発し、精神活動向上として実訪問が難しい場所(昔の学校・職場周辺など)の360°情景を提供することで会話の契機として活用している。 目的・方法)SW開発上、当研究チーム6名、高齢者介護職員2名、及び対象高齢者3名から聞き取り調査を行い、VR技術を高齢者に使用するさいの課題を検討したので報告する。 結果)HW課題としてHead mount display(HMD)の重量・頭部圧迫・視界遮断により、対象者は体力と理解力に支障がない者に限られ、転倒防止として座位使用を採用した。市販のHMDは性能が低いため3D造形物は簡易で低解像度に制限された。HMD装着後は他者による視覚的説明はできず、コントローラの視認も困難のため、操作は極めて簡易に設計し、十分な事前説明が必要であった。SW課題としては高齢者特有の視力障害のため、VR空間内の物体は大きく明瞭に設計する必要があった。擬似視差による立体視のため、迷路等の狭視野空間や、空間移動による視点変化が大きい場合、疑似視差による脳負荷や平衡感覚混乱により嘔気症状が生じやすく、視差負荷を少なく設計したSWでも連続使用は10分程度に限られた。高齢者が対象のため介護職員よりSW内容に対して、空を飛ぶSWでは「天国を想起させる」、川下りSWでは「三途の川を想起させる」と指摘を受け、対策として現実的風景を採用した。 考察)VR技術を高齢者に使用する場合はHMD特有の制約や視覚負担を考慮する必要がありSW内容も対象者の心情を理解して作成する必要がある。