Japan Association for Medical Informatics

[3-G-2-08] 水俣市久木野地区における「くまもとメディカルネットワーク」と遠隔医療対応聴診器を併用した遠隔診療の必要性、有効性

*Junichi Yamazawa1,2, Taishi Nakamura1,3, Yoshinori Yamanouchi1,4, Yohei Nagai5, Michio Abe5, Hideki Maruyama5, Fudeo Sakamoto5, Koichiro Usuku1,3 (1. 熊本大学大学院 医療情報医学, 2. 国保水俣市立総合医療センター 情報企画室, 3. 熊本大学病院 医療情報経営企画部, 4. 熊本大学病院 総合臨床研究部, 5. 国保水俣市立総合医療センター 診療部)

Telemedicine, Online medical treatment, Remote medical support

【背景】過疎化が進む水俣市久木野地区では市内の地域中核病院への通院が困難な方が多く、久木野診療所での週2回の医師派遣による診察に頼らざるを得ない状態である。この課題のために医療資源へのアクセスと医療の質を担保するために、ICTを活用した遠隔診療への期待が高まっている。また、遠隔診療に関する診療報酬が新設され、今般のコロナ禍に於いてはさらにオンライン診療の必要性が増している。ただ、高齢者はスマートフォン等の操作に不慣れな方が多いため、利用する環境を整備すること、サポート体制の構築が必要である。【目的】 熊本県内で整備済みである「くまもとメディカルネットワーク」(以下、KMN)の医療インフラとAMI株式会社が開発した遠隔聴診対応ビデオチャットシステム(以下、遠隔医療システム)を併用して、久木野診療所にて慢性疾患患者を対象にビデオ通話による診察、電子聴診器による遠隔聴診などの遠隔診療が有用か検討する。【方法】 オンライン診療の検証のために①オンライン診療時の患者感想、②オンライン診療時の患者の緊張状況、③電子聴診器の使い勝手、④これからもオンライン診療を使いたいか、⑤オンライン診療の必要性について、オンライン診療体験会の前後で比較した。【結果】①全く違った(前25%、後10%)、②いつもより緊張した(前47%、後40%)、③使いやすい(前16%、後40%)、④今後もオンライン診療を使いたい(前69%、後90%)、⑤オンライン診療の必要性(前75%、後100%)であった。【考察】KMNと遠隔医療システムを併用した遠隔診療は、オンライン診療体験会前後で、全く違うと答える患者が減り、緊張の度合いが減っていた。遠隔聴診器の使いやすさは増加、今後も使いたいという希望、オンライン診療が必要という患者は増加しており、過疎地域での遠隔診療の必要性、サポート体制の有用性が示唆されたと考えている。