[3-H-1-03] PHRの実装における課題
FHIR, Personal Health Record, Profile
令和3年4月に総務省、厚生労働省、経済産業省から「民間PHR事業者による健診等情報の取扱いに関する基本的指針」、6月に一般社団法人PHR普及推進協議会から「民間事業者のPHRサービスに関わるガイドライン作成に当たっての提言」が公開されている。しかし、8月現時点でも健診等情報のフォーマット等に関してマイナポータル API から出力される項目及びフォーマットを基本とし、互換性の高い汎用的なデータファイルとしてHL7CDA等と例示されているのみで、相互運用性について具体的な取り決めは存在しない。国で一元的な医療情報の管理を想定していないわが国においては、PHRサービス事業者が医療情報の流通について相対的に重い社会的責任を求められる傾向にあり、継続性のある医療情報の自己管理を担保するためにPHRサービス事業者間のデータ連携が重要なテーマである。これまで、医療機関内の部門システム間連携や、主に閲覧のみを想定した第三者への提供とは次元の異なる相互運用性への高みに到達する必要がある。保健医療情報分野における安全な相互運用性のための認証・認可のHealth Relation Trust Profileフレームワーク、国際的な患者サマリー情報の可搬性を担保するInternational Patient Summary Profile、ワクチン接種歴や検査結果をQRコードにて交換可能にするSMART Health Cardsと、最近のPHRに関するProfileはスマートフォン上で情報交換・展開をすることを強く意識するようになっている。わが国においてPHRサービス事業者間の相互運用性を確保するための最大の課題は使用する統制用語集の特定とバリデーション能力を備えたProfileの実装経験の乏しさである。各国のProfileの状況を俯瞰しつつ、これらのProfileをわが国において実装するための方法論について提唱する。