Japan Association for Medical Informatics

[3-H-2-02] 認知機能に基づく生活パターン、室内環境の比較と分析

*Michito Kimura1,2, Yuriko Nakaoku1, Shunsuke Murata1, Misa Takegami1, Soshiro Ogata1, Tadamasa Takemura2, Kunihiro Nishimura1 (1. 国立循環器病研究センター 予防医学・疫学情報部, 2. 兵庫県立大学大学院 応用情報科学研究科)

MCI, electric power sensor, older people

近年、アルツハイマー型認知症(AD)などの認知症に対する研究・治療薬開発が進むにつれ、認知症の前駆段階である軽度認知障害(MCI)にも注目が集まっている。MCIは、一度診断されたら必ずしも認知症に進展するものではなく、後日の評価で認知機能が正常と判断されることもある。MCIに適切な介入することで、認知症への進展を防ぐことは、来る超高齢化社会において重要であると考えられる。認知機能が低下すると、昼夜逆転を起こしたり、真夏に暖房器具を運転させたりするなど、通常の生活を送るのが困難になることがわかっており、生活状態を把握することは認知機能の客観的な把握にも有効であると考えられるが、認知機能が低下した高齢者やその家族から、個人の詳細な生活状態を継続して聞き取りするのは困難である。一方、IoT技術の発展により日常のあらゆるものをデータ化し、蓄積することができるようになった。東京電力がソニーと開発した、分電盤に装着することで消費電力の波形から使用している家電を特定する機器分離技術を持つ電力センサーもそのひとつである。そのため、これらのセンサーを用いることで、生活状態を把握することができる可能性がある。また、環境センサーを用いることで、認知機能が低下した高齢者の寝室や居間における騒音、温度や呼吸による二酸化炭素濃度の変化を測定できれば、より詳細な生活状態を把握できる可能性がある。 そこで本研究では、電力センサーおよび環境センサーを用いて、認知機能が低下した高齢者の生活状態を把握することを目的とした。具体的には、研究に参加した宮崎県延岡市に住む65歳以上で、認知症と診断されていない79世帯122人の研究対象者に対して、認知機能をMMSE-JとTICS-を用いて評価した上で、一年分の電力センサーと環境センサーのデータや基本データを用いて関連性などの分析を行った。