Japan Association for Medical Informatics

[3-H-2-08] エージェントを用いた病棟看護業務シミュレーション

*Junya Kurokawa1, Akiko Shindo(Miyahira)2,3, Takafumi Shimizu 2, Kazuko Tada3, Tadamasa Takemura 2, Naoki Ohboshi 1 (1. 近畿大学大学院 総合理工学研究科, 2. 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科, 3. 兵庫県立尼崎総合医療センター)

agent simulation, time-motion study, hospital information system, nursing data

現在、日本医療労働組合連合会の調査報告書によると、約半数の看護師が患者に対して十分な看護ができていないと答えている。病棟業務の負荷増大は社会問題にもなっており、看護業務の最適化は重要である。しかし、病棟業務の最適化を検討することは難しく、実際には現場で試行錯誤している現状がある。一方で、病院情報システムの普及に伴い、各種オーダーや指示情報および実施入力データが蓄積されるようになり、これらのデータから各病棟の各時間帯の忙しさを検討することが可能になりつつある。 そこで本研究では、これらの病院情報システム上で発生したオーダー情報や指示情報を患者に紐づくタスクとして捉え、計算機上で患者を発生させることで病棟業務をシミュレーションした上で、看護師エージェントを作成してこれらのタスクを処理するエージェントシミュレーションを試みた。シミュレーションの元になるデータとしては、兵庫県内の高度急性期A病院における2018年4月から2019年3月のオーダー等のデータ(4,134,380件)のうち、B病棟に入院した患者(4,536人)に付随するオーダーおよび実施入力データ(190,790件)とした。具体的には、実データに基づいてランダムに患者を発生させた上で、退院まで計算機上のベッドを専有し、実際のデータに基づいて時間帯別にタスクを発生させる。その上で、病棟上に看護師エージェントを配置し発生するタスクを処理させることで、病棟業務のシミュレーションを行った。日勤帯など、時間内に業務が終わらない場合、もしくは記録業務等が発生した場合は、超勤扱いとして残業を行うものとした。 結果、患者の入院状況をコントロールすることで実際の稼働率に近い状況を再現することが可能であり、この稼働率に基づいて発生した病棟業務および看護師エージェントによるタスク処理および勤務状況をシミュレーションすることができた。