一般社団法人 日本医療情報学会

[4-G-1-04] 医療情報部門による支援が奏功したがん遺伝子パネル検査の業務改善

*古橋 寛子1、山下 貴範1、請川 竜夫1、坂井 清太郎1、吉崎 真司1、馬場 英司2、中島 直樹1 (1. 九州大学病院 メディカル・インフォメーションセンター, 2. 九州大学病院 がんセンター)

Cancer Genomic Medicine, Progress Management, Task Shifting, Hospital Information System

【背景】2019年6月に保険償還されたがん遺伝子パネル検査では検査に関わるデータをがんゲノム情報管理センター(C-CAT)に提供することが推奨されており、2021年2月末までにおよそ12,000件の検査データが登録されている。全国規模でのデータベースが構築されるという大きなメリットがある一方で、検査実施作業に加えてデータ提供・管理作業が必要となるため、他の検査とは異なる実践上の課題も浮上してきている。こうした本検査特有の課題について、システムと運用の双方の面で医療情報部門による支援が奏功した事例を報告する。【事例1】本検査では検査実施作業自体や関連して用いるシステム、関与する部門が多いため、検査全体の進捗把握・管理が難しいという課題があった。そこで当院に導入している電子カルテシステムのワークフロー機能を利用して、2020年6月に独自の進捗管理システムを構築した。本システムの導入により検査進捗の一覧性確保という目的は達成できたが、操作性や機能間連携の点で課題が残ったため、その解消のため2021年6月に改修を実施した。【事例2】臨床情報のデータ提供では、依頼医師の入力負担が大きいこととデータの品質管理が難しくC-CATからの疑義照会件数が多いという課題があった。そこで疑義照会内容を整理したところ、多くが検体情報に関する内容であったため、病理部門と調整し、2020年6月から検体情報を依頼医師ではなく病理部門医師が入力する運用へと変更した。その結果、検体情報に関する疑義照会件数が減少し、疑義照会全体の件数も減少した。【結語】医療情報部門による診療支援はシステム面での支援に偏りがちであるが、システム化の考え方やプロセスを応用することで、運用面の整理や改善の提案という形での支援も可能である。医療情報部門によるシステムと運用の双方を総合的に考慮した支援は診療業務の改善に有効である。