Japan Association for Medical Informatics

[2-G-3-01] レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用いた糖尿病性腎症の有病率に関する現状報告

*Makoto Fujii1, Yuko Ohno1, Asuka Ikeda1, Kayo Godai1, Kei Kamide1, Mai Kabayama1 (1. 大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻)

National DateBase (NDB), Diabetic kidney disease, Specific Health Checkups

【背景】
 我が国では2016年度に糖尿病性腎症重症化予防プログラムが策定され、健診受診率の向上や医療機関受診増加に向けた試みが開始された。糖尿病性腎症は症状のない早期段階での介入が必要であり。医療機関に受診した情報のみならず悉皆的・網羅的な調査が必要である。

【目的】
 レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用い、わが国における糖尿病性腎症の実態を明示することを目的とした。

【方法】
 本研究は糖尿病性腎症重症化予防プログラムの効果検証事業に基づく研究である。本事業で利用可能である2008年度~2019年度のNDBの特定健診情報のうちいずれかの年度でHbA1c5.6%以上、空腹時血糖または随時血糖100mg/dlに該当する200,702,548件のデータを対象に、横断的・縦断的に評価した。個人の紐づけは、保険者番号、生年月日および性別で生成されるid1nを利用した。 特定健診では尿アルブミン定量は健診項目に含まれないため、尿蛋白検査とeGFR検査を用い糖尿病性腎症重症度分類に基づき各分類の頻度を求めた。

【結果】
 2008年度~2019年度で糖尿病該当者は合計24,520,993件(12.22%)であった。2008年度では糖尿病性腎症1期2期は82.85%であったが2019年度では88.67%と増加、3期4期は11%~12%と同程度の推移であった。透析実施者は2009年度の0.02%から2019年度では0.2%と10倍に増加しており不明例は2008年度の4.48%が2019年度は0.27%と大きく減少した。

【結論】
 NDBデータを基に、糖尿病性腎症の重症度分類別の現状を明らかにした。本研究結果は、慢性腎臓病および糖尿病性腎症のスクリーニングや評価や特定保健指導の判断指標の有用性に寄与するものである。