Japan Association for Medical Informatics

[2-H-2-01] 臨床現場への医用AI導入のための医療情報・AI連携システムの開発

*Masahiko Nakatsui1, Yasushi Hirano2, Takeshi Abe1, Kazuki Hamada3, Kyoji Kouda4, Yoshiyuki Nishinaka5, Haku Ishida2, Yoshiyuki Asai3,1 (1. 山口大学大学院医学系研究科・医学部附属病院AIシステム医学・医療研究教育センター, 2. 山口大学医学部附属病院医療情報部, 3. 山口大学大学院医学系研究科システムバイオインフォマティクス講座, 4. 山口大学医学部附属病院薬剤部, 5. インタセクト・コミュニケーションズ株式会社)

Artificial Intelligence, Clinical Decision Support System, Integrative Framework

人工知能技術の飛躍的な発展や、膨大な医療情報の蓄積を背景として、医療の高精度化や効率化を目指し、様々な医用AIの開発が進められている。医用AIを臨床現場で活用していくためには、医用AIと、電子カルテシステムや臨床意思決定支援システム(Clinical Decision Support System, CDSS)をはじめとする医療情報システムとの連携が不可欠である。また、臨床現場の多様なニーズやユースケースによって、予測に使用するデータの種別や実行のタイミングなどが異なる医用AIが想定され、医用AIの臨床現場への迅速な展開には、様々な形式の医用AIを統一的な手順で臨床現場へと導入できることも重要である。そこで本研究では、多様な医療データを活用し、医用AIを適切なタイミングで実行し、その予測結果を臨床現場へと提示する医用AI・医療情報の汎用的な連携システムを構築する。
本連携システムでは、医用AIの種類ごとにCDSSにおいてあらかじめ設定した判断ロジックに基づき、任意の医用AIが起動される。判断ロジックとしては、特定のイベントの発生や異常検査値の検出、または日次などのバッチ処理を設定できる。医用AIは、医療情報システムの二次利用システムからSQLを用いて患者データを取得し、予測を実行する。予測結果はCDSSへと返却され、その結果が医療情報システムの画面上に表示される。医用AIは、他の医療情報システムから独立した専用仮想サーバ上で実行する。また、コンテナ仮想化技術であるDockerを用いることで、他の医用AIの追加や改修による動作環境変化の影響を受けない。
本発表では、有害反応の疑いがある場合に過去の副作用発生情報に基づきその原因薬を予測するAIを題材として、連携システムの実装、および山口大学医学部附属病院における医用AIの臨床現場への導入に向けた試行と、将来に向けた展望について報告する。