Japan Association for Medical Informatics

[2-H-3-04] 電子カルテでの医師による薬剤アラート突破理由入力と薬剤師、看護師への共有

*Toshihiro Takeda1,2, Taizo Murata2, Mitsunori Nishikawa3, Harumi Kitamura4, Katsuki Okada1,2 (1. 大阪大学大学院医学系研究科医療情報学, 2. 大阪大学医学部附属病院医療情報部, 3. 大阪大学医学部附属病院薬剤部, 4. 大阪大学医学部附属病院中央クオリティマネジメント部)

Medical Safety, Physician Order Entry System, Alert

【背景】電子カルテの医療安全貢献として薬剤オーダ時のアラートがあるが、アラート疲労などによりアラートが適切に処理されないケースも少なくない。医師のアラート突破を適切に把握し、薬剤師や看護師に情報伝達することで、薬剤監査や薬剤投与時の患者観察につなげることが可能となる。 【方法】当院の薬剤アラートは、ピリン系など薬剤グループごとの設定である薬剤禁忌と、薬剤単位で同一薬をマスタ管理する薬剤副作用があり、それぞれ「禁忌」、「注意」、「なし」が登録できる。「禁忌」の薬剤がオーダされた際は、エラーアラートが表示され、投与理由の入力が必要となる。投与理由は3種類の定型文と自由記載を用意した。「注意」の薬剤がオーダされた場合は、警告アラートが表示されるが、理由入力は必要としない。エラー突破の投与理由は薬剤部門システムに連携し、理由は処方箋に印字され薬剤監査で利用されるとともに、注射薬の場合はラベルにもエラー突破を示すマークが印字され投与中にも注意できるよう情報共有される。エラー突破理由は電子カルテ指示システムで確認することを可能とした。2022年2月1日から5月31日のエラー、警告突破状況を解析した。 【結果】薬剤禁忌はエラーが133回、警告が115回、薬剤副作用はエラーが81回、警告が94回、アラート突破されていた。エラー突破理由は214件が登録され、うち200件が定型文であった。その内訳は、「治療に必要であり、慎重に投与を行う」が122件、「投与実績あり(副作用は出現せず)」が64件、「禁忌成分が含まれるが投与は問題なし」が8件、「同効薬剤の副作用で本薬剤は出現しない」が6件であった。 【考察】エラー突破理由が適切に入力され、薬剤師、看護師に伝達された。「副作用が出現せず」の薬剤については禁忌、副作用登録の見直しが必要と考えられた。