[PA024] 中国の中高生の自尊感情が学校享受感に与える影響に関する調査
東京都版自尊感情尺度を使って
キーワード:自尊感情, 学校享受感
青少年の意識,自尊感情に関する複数の国際比較調査の結果をみると,日本の子どもたちの得点よりも中国のほうが高いことが分かっている。日本では自尊感情という概念について,自分自身に対してポジティブな思考を示すだけではなく,ネガティブな側面も含まれると考えられる。自尊感情が高ければ高いほどよいというわけではない。一方で,中国では自尊感情に当たる「自尊/自尊心」は,「プライドが高すぎる」という意味でややネガティブな響きを持つ以外,基本的にポジティブに使われている。今回,自尊感情に関する日中の国際比較調査を行うために,第一歩として日本で作成された自尊感情を測る尺度を中国の中学生と高校生を対象に調査を行い,自尊感情が学校享受感に与える影響を調べることにした。
【方法】
調査時期と調査対象者 2011年9月~12月の間,北京市の中高一貫校(2校,中学生1~3年生,高校生1~3年生,計1029名)に質問紙調査を依頼した
調査内容 ①『東京都版自尊感情尺度』(伊藤・若本,2010):<自己評価・自己受容:(「自分のこと好きだ」等8項目><関係の中での自己:「私には自分のことを理解してくれる人がいる」等7項目><自己主張・自己決定:「自分の判断や行動を信じることができる」等7項目>の3因子22項目。②『学校享受感尺度:「学校のことが好きだ」等』(古市,1991)1因子10項目。4件法で実施。また,生活調査を行った。
【結果と考察】
中高生の自尊感情・学校享受感得点の比較
自分感情尺度の3因子「自己評価・自己受容」「関係の中での自己」「自己主張・自己決定」および「学校享受感」の得点を中学校と高校,また男女で比較した。その結果,自尊感情の「関係の中での自己」のみが,中学校より高校が高く,男子よりも女子が有意に高いことが分かった。男子に比べて女子のほうがより周りとの人間関係を重視し,人づきあいにおいても自信をもっていると言えよう。また,「学校享受感」について,有意な男女さは確認できず,高校より中学校の得点が有意に高いことが明らかになった。
学校享受感を従属変数,自尊感情3得点を独立変数とした重回帰分析(Table1)
自尊感情の<自己評価・受容>と<関係の中での自己>が学校享受感に正の影響力を持ち,<自己主張・決定>は負の影響力があることが明らかになった。良好な人間関係とポジティブな自己評価は学校享受感を増強できる一方,自己主張や自己決定という面について,学校享受感にマイナスの影響を持つことは本音と建て前のギャップを示している可能性がある。中国の中高生にとって,学校に行くことと学校生活を楽しむこととは意味的に異なると考えられる。
【方法】
調査時期と調査対象者 2011年9月~12月の間,北京市の中高一貫校(2校,中学生1~3年生,高校生1~3年生,計1029名)に質問紙調査を依頼した
調査内容 ①『東京都版自尊感情尺度』(伊藤・若本,2010):<自己評価・自己受容:(「自分のこと好きだ」等8項目><関係の中での自己:「私には自分のことを理解してくれる人がいる」等7項目><自己主張・自己決定:「自分の判断や行動を信じることができる」等7項目>の3因子22項目。②『学校享受感尺度:「学校のことが好きだ」等』(古市,1991)1因子10項目。4件法で実施。また,生活調査を行った。
【結果と考察】
中高生の自尊感情・学校享受感得点の比較
自分感情尺度の3因子「自己評価・自己受容」「関係の中での自己」「自己主張・自己決定」および「学校享受感」の得点を中学校と高校,また男女で比較した。その結果,自尊感情の「関係の中での自己」のみが,中学校より高校が高く,男子よりも女子が有意に高いことが分かった。男子に比べて女子のほうがより周りとの人間関係を重視し,人づきあいにおいても自信をもっていると言えよう。また,「学校享受感」について,有意な男女さは確認できず,高校より中学校の得点が有意に高いことが明らかになった。
学校享受感を従属変数,自尊感情3得点を独立変数とした重回帰分析(Table1)
自尊感情の<自己評価・受容>と<関係の中での自己>が学校享受感に正の影響力を持ち,<自己主張・決定>は負の影響力があることが明らかになった。良好な人間関係とポジティブな自己評価は学校享受感を増強できる一方,自己主張や自己決定という面について,学校享受感にマイナスの影響を持つことは本音と建て前のギャップを示している可能性がある。中国の中高生にとって,学校に行くことと学校生活を楽しむこととは意味的に異なると考えられる。