[PE053] 「気になる」子どもの運動発達と有能感に関する研究3
自己評価と有能感の関連に着目して
キーワード:「気になる」子ども, 運動発達, 有能感
【問題と目的】 一般に,「気になる」子どもは,運動調整の難しさに加え,運動に対する苦手意識をもちやすいことが指摘されている。そのような観点から,研究3では自己評価と有能感との関連を明らかにすることを目的とした。
【方 法】 1.対象児:保育所の5歳児クラスの子ども24名(男児14名,女児10名)。
2.期間:サッカーの巡回指導は年4回約1時間実施された。ここでは2013年11月および2014年3月のデータを報告する。
3.プログラム:サッカーの巡回指導は3つの運動課題と自己評価から構成された。①ビーズリレー:ジグザグに配置されたコーンを走り,10m先でビーズをひもに10個通し,戻ってくるまでの所要時間を測定した。②シュート練習:ゴールに向かってシュートの練習を行った。③ゲーム:ボールを使った試合を2分間2試合行った。④自己評価:4項目(サッカー教室全体・ビーズリレー・シュート練習・ゲーム)の各々について,上手にできたかと思うかを「できなかった(1)」から「よくできた(4)」までの4段階で評定するように求めた。⑤有能感の評定:2014年3月には自己評価に加え,有能感の3項目(運動・友達との遊び・勉強)について,「得意じゃない(1)」から「とても得意(4)」で評定するように求めた。
4.自己評価および有能感の測定: KEEPAD JAPAN のクリッカー用アプリケーション(Turning Point 2008)を用いて,各々の参加児にクリッカーの該当ボタン(1~4)を操作させて,評定を行った。
【結 果】 1.運動得点:図1にはビーズリレーにおける,ゴールまでの平均所要時間の変化を示した。t検定の結果,有意差は見られなかった。
2.自己評価得点:図2には自己評価項目の平均を示した。項目全体の得点を比較したところ,11月よりも3月の方が有意に低かった(t(17)=2.54, p < .05)。項目ごとの比較では,ビーズとゲームが11月よりも3月の得点が有意に低かった(ビーズ:t(17)=2.61, p < .05;ゲーム:t(17)=2.37, p < .05)。
3.自己評価と有能感の関連:自己評価と有能感の項目間の相関を求めた。その結果,「ゲームの自己評価」と「運動の有能感」(r= .510),「サッカー教室全体の自己評価」と「友だちの有能感」(r = .515),「サッカー教室全体の自己評価」と「勉強の有能感」(r = .474)との間において有意な相関が見られた(いずれもp< .05)。
【考 察】 今回報告した結果から,運動発達,とりわけ運動協応の発達は「気になる」子どもの特徴を捉えるための重要な指標となり得ると考えられる。また,自己評価と有能感との関連から,運動発達の遅れが有能感・自尊感情の低下や対人関係の持ち方に影響することが示唆される。
【方 法】 1.対象児:保育所の5歳児クラスの子ども24名(男児14名,女児10名)。
2.期間:サッカーの巡回指導は年4回約1時間実施された。ここでは2013年11月および2014年3月のデータを報告する。
3.プログラム:サッカーの巡回指導は3つの運動課題と自己評価から構成された。①ビーズリレー:ジグザグに配置されたコーンを走り,10m先でビーズをひもに10個通し,戻ってくるまでの所要時間を測定した。②シュート練習:ゴールに向かってシュートの練習を行った。③ゲーム:ボールを使った試合を2分間2試合行った。④自己評価:4項目(サッカー教室全体・ビーズリレー・シュート練習・ゲーム)の各々について,上手にできたかと思うかを「できなかった(1)」から「よくできた(4)」までの4段階で評定するように求めた。⑤有能感の評定:2014年3月には自己評価に加え,有能感の3項目(運動・友達との遊び・勉強)について,「得意じゃない(1)」から「とても得意(4)」で評定するように求めた。
4.自己評価および有能感の測定: KEEPAD JAPAN のクリッカー用アプリケーション(Turning Point 2008)を用いて,各々の参加児にクリッカーの該当ボタン(1~4)を操作させて,評定を行った。
【結 果】 1.運動得点:図1にはビーズリレーにおける,ゴールまでの平均所要時間の変化を示した。t検定の結果,有意差は見られなかった。
2.自己評価得点:図2には自己評価項目の平均を示した。項目全体の得点を比較したところ,11月よりも3月の方が有意に低かった(t(17)=2.54, p < .05)。項目ごとの比較では,ビーズとゲームが11月よりも3月の得点が有意に低かった(ビーズ:t(17)=2.61, p < .05;ゲーム:t(17)=2.37, p < .05)。
3.自己評価と有能感の関連:自己評価と有能感の項目間の相関を求めた。その結果,「ゲームの自己評価」と「運動の有能感」(r= .510),「サッカー教室全体の自己評価」と「友だちの有能感」(r = .515),「サッカー教室全体の自己評価」と「勉強の有能感」(r = .474)との間において有意な相関が見られた(いずれもp< .05)。
【考 察】 今回報告した結果から,運動発達,とりわけ運動協応の発達は「気になる」子どもの特徴を捉えるための重要な指標となり得ると考えられる。また,自己評価と有能感との関連から,運動発達の遅れが有能感・自尊感情の低下や対人関係の持ち方に影響することが示唆される。