日本教育心理学会第56回総会

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ポスター発表 PE

(501)

2014年11月8日(土) 13:30 〜 15:30 501 (5階)

[PE096] 本物のカウンセリングはもっと派手で気楽で献身的?

福祉系大学生における「カウンセリング」のイメージ調査

生駒忍 (川村学園女子大学)

キーワード:カウンセリング, SD法, 実体験

カウンセリングの社会的な認知度が高まって久しい。特に若い世代においては,スクールカウンセラーの配置拡大の影響が大きく,今日の大学生の多くは,カウンセラーのいる学校で学んできている。しかし,実際のカウンセリングには触れる機会がないままということも多い。
そこで本研究では,大学生が「カウンセリング」をどのようにとらえているのか,そのイメージをSD法によって測定する。また,カウンセリングを受けた経験の有無によってそのイメージにどのような違いがあるのかを検討する。

方法
調査対象者 福祉系大学の学生69名(男性24名・女性45名; 平均年齢19.25歳)が質問紙に回答した。
質問紙 「カウンセリング」に対して持っているイメージを,SD法で尋ねた。項目は,学生相談に関するイメージを検討した櫻井・有田(1994)の22対を用い,すべて7件法とした。
これまでにカウンセリングを受けた経験については,はい・いいえの2択で回答を求めた。
手続き カウンセリングの講義の初回の際に質問紙を配布し,回答を求めた。

結果
全項目に回答が得られた68名分を分析対象とした。カウンセリングを受けた経験があると回答したのは16名(男性5名・女性11名)で,Fisher法による直接確率計算の結果,経験の有無と性別との間に連関は認められなかった(p = .53,片側検定)。
SD法の評定結果を,カウンセリングを受けた経験の有無で分けて集計したところ,表1のようになった。値が高いほど,対の右側への偏好が強いことを示す。
それぞれの対ごとに,経験の有無で評定に差があるといえるかどうかを,t検定で検討した。その結果,「派手な - 地味な」(p = .004)で有意差が認められ,「献身的な - 利己的な」(p = .057),「明るい - 暗い」(p = .060),「深刻な - 気楽な」(p = .054)では有意傾向であった。

考察
大学生がもつカウンセリングのイメージにおいて,カウンセリングを受けた経験の有無の影響があることが示唆された。経験があると,より派手で,献身的で,明るく,気楽であるととられていることが示された。一方で,それ以外の多くの項目では有意な差が認められなかったことからは,経験の有無による影響は大きいものではなく,ある程度安定したイメージがもたれていると考えることもできる。

引用文献
櫻井信也・有田モト子 (1994). SD法による学生相談センターに関するイメージの測定 学生相談研究, 15, 10-17.