[PD070] ASDのある児童の足し算・引き算の流暢性指導
Number familyと3C学習法を用いて
キーワード:ASD, 流暢性指導, 計算
【問題と目的】
学業スキルは,正確さに加えて流暢さも向上させることが重要であることが指摘されている(Haring et al., 1978)。学業スキルの中でも計算スキルの流暢性を向上させるのに有効な方法として,Number family(Stein et al., 2006)と3C学習法(Skinner et al., 1989)による指導が行われている。本研究では,小学6年生のASDのある児童を対象にNumber familyと3C学習法による指導を行い,その効果を検証した。
【方 法】
対象者:公立小学校6年生の通常学級に在籍するASDのある児童であった。計算に関しては,数字の下に○を書き,その数を数えることで解答するという方略を用いており,計算問題に解答する時間が長くかかり,途中で集中が切れてしまうことも多かった。
標的行動及び従属変数:標的行動は,数字欠落課題において正しい数字を書く行動(例:「2 _ 5」を見て真ん中に「3」と書く)及び,計算問題に書字で解答する行動であった。従属変数として,数字欠落課題を用いた1分間タイムトライアルにおける正答数・誤答数及び,足し算・引き算の1分間タイムトライアルにおける正答数を用いた。
教材:教材セットAとして「2,2,4」「2,3,5」「2,4,6」,教材セットB「2,5,7」「2,6,8」「2,7,9」,教材セットCとして「2,8,10」「2,9,11」「3,3,6」の数字の組み合わせを選択した。各教材セットについて,数字欠落課題シート及び計算問題シートを作成した(A4版で1枚40問)。
実験デザイン:一事例実験デザインの教材間多層プローブデザインを用いて介入効果を検証した。計算スキルについては直接介入を行わず,Number familyを習得することで計算スキルの流暢性が向上するかを検証した。
手続き:1)ベースライン数字欠落課題および計算問題の1分間タイムトライアルを実施した。正誤のフィードバックは行わなかった。2)介入 ①Number familyの概念的指導,②Number familyを覚えるための3C学習法,③数字欠落課題を用いた1分間タイムトライアルとフィードバックを実施した。3)プローブ 介入が終了した教材セットについては,プローブテストを実施した。4)維持 全介入終了1週間後に介入効果が維持されているか検討した。
【結果および考察】
本研究の結果をFigure 1に示す。全ての教材セットにおいて,介入を開始すると数字欠落課題の正答数が増加し,若干の減少はみられるものの1週間後も概ね維持されていた。計算スキルに関しては,ベースラインでは計算問題を解く際には必ず数字の下に○を書いていたが,介入開始後は○を書かずに解答しており,研究終了時にはベースラインの2倍から4倍の速さで計算問題を解けるようになっていた。
パターン化されたものの学習が得意なASDのある児童にとっては,Number familyを用いた計算スキルの指導は効果的であると考えられる。
学業スキルは,正確さに加えて流暢さも向上させることが重要であることが指摘されている(Haring et al., 1978)。学業スキルの中でも計算スキルの流暢性を向上させるのに有効な方法として,Number family(Stein et al., 2006)と3C学習法(Skinner et al., 1989)による指導が行われている。本研究では,小学6年生のASDのある児童を対象にNumber familyと3C学習法による指導を行い,その効果を検証した。
【方 法】
対象者:公立小学校6年生の通常学級に在籍するASDのある児童であった。計算に関しては,数字の下に○を書き,その数を数えることで解答するという方略を用いており,計算問題に解答する時間が長くかかり,途中で集中が切れてしまうことも多かった。
標的行動及び従属変数:標的行動は,数字欠落課題において正しい数字を書く行動(例:「2 _ 5」を見て真ん中に「3」と書く)及び,計算問題に書字で解答する行動であった。従属変数として,数字欠落課題を用いた1分間タイムトライアルにおける正答数・誤答数及び,足し算・引き算の1分間タイムトライアルにおける正答数を用いた。
教材:教材セットAとして「2,2,4」「2,3,5」「2,4,6」,教材セットB「2,5,7」「2,6,8」「2,7,9」,教材セットCとして「2,8,10」「2,9,11」「3,3,6」の数字の組み合わせを選択した。各教材セットについて,数字欠落課題シート及び計算問題シートを作成した(A4版で1枚40問)。
実験デザイン:一事例実験デザインの教材間多層プローブデザインを用いて介入効果を検証した。計算スキルについては直接介入を行わず,Number familyを習得することで計算スキルの流暢性が向上するかを検証した。
手続き:1)ベースライン数字欠落課題および計算問題の1分間タイムトライアルを実施した。正誤のフィードバックは行わなかった。2)介入 ①Number familyの概念的指導,②Number familyを覚えるための3C学習法,③数字欠落課題を用いた1分間タイムトライアルとフィードバックを実施した。3)プローブ 介入が終了した教材セットについては,プローブテストを実施した。4)維持 全介入終了1週間後に介入効果が維持されているか検討した。
【結果および考察】
本研究の結果をFigure 1に示す。全ての教材セットにおいて,介入を開始すると数字欠落課題の正答数が増加し,若干の減少はみられるものの1週間後も概ね維持されていた。計算スキルに関しては,ベースラインでは計算問題を解く際には必ず数字の下に○を書いていたが,介入開始後は○を書かずに解答しており,研究終了時にはベースラインの2倍から4倍の速さで計算問題を解けるようになっていた。
パターン化されたものの学習が得意なASDのある児童にとっては,Number familyを用いた計算スキルの指導は効果的であると考えられる。