[PG05] 中学生・高校生・大学生の放課後の生活
横断的検討
キーワード:中学生, 大学生, 放課後の生活
目 的
放課後は,教育課程に基づいて学ぶ学校での学習活動とは異なり,生徒・学生自身や家庭の主体性を生かしてさまざまな学びや活動が自由にできる時間であり,生徒・学生にとって,今後の発達や学習,キャリア形成に重要な機会となっている。
本研究の目的は,中学生・高校生・大学生が放課後,充実して過ごしているか,どのように過ごしているか,その生活実態を把握することである。
方 法
調査対象者:Web調査(クロス・マーケティング社)に参加した全国の中学生を持つ親200名と高校生200名(うちわけ,中学生⇒性別:男子105名,女子95名。学年:1年生63名,2年生76名,3年生61名 高校生⇒性別:男子118名,女子82名。学年:1年生51名,2年生61名,3年生88名。)大学生546名。大学生の調査では,研究者自身が配布,回収した。(うちわけ,性別:男子294名,女子246名。学年:1年生204名,2年生143名,3年生116名,4年生83名。)
調査項目:放課後生活評価尺度を構成する項目として,放課後の過ごし方を具体的な行動としてとらえる27項目を設定した。大学生には項目の内容や表現が若干異なるものの同じく27項目を設定し,評定はいずれも,この1ヵ月間の放課後(平日)にしたことを,0日(ぜんぜん),1日(たまに),2から3日(ときどき),4日(よく),5日(いつも)の5件法で回答を求めた。その他,大学生にはアルバイトなどについてたずねた。
手続き:Web調査は2015年3月,大学生調査は2015年7月に実施された。
結 果
1.中学生・高校生・大学生の放課後生活の構造
中学生と高校生は同じ27項目で,探索的因子分析(最尤法,プロマックス回転)を行った。大学生は単独で因子分析した。両者とも,因子負荷量が.35に達しなかった項目を分析から除いたところ,「運動」,「学び」,「自由」,「交友」,「家族」の5つの因子にわかれた。放課後の生活には5つの領域があることが示された。
2.中学生・高校生・大学生の放課後の過ごし方
Figure 1に中学1年生から大学4年生までの10学年の領域別平均評価点を示す。これによると「運動」は中学1年生がピークであり,「学び」「交友」では高校生が低く,大学生は比較的高くなっていた。大学が入学しやすくなったためか,高校生は受験のための勉強に,放課後費やす日数はそれほど多くないようであった。「家族」は中学生が高かったが,年長になるにつれ減少し,大学生では低くなっていた。
3.大学生の放課後の生活
大学生では,そのまま自宅に戻るものが4割ほどいたが,多くは週のうち複数日は自宅以外で過ごしていた。アルバイト先が51.4%,店に寄るが67.1%,友だちの家が12.6%などであった。習い事は2.9%,スポーツクラブ3.1%であった。
アルバイトをしていない学生は31.6%いたが,週1~2日(20.7%),週3~4日(40.0%),週5日以上(7.5%)とアルバイトをしている学生が多かった。その理由は,お金のためがもっとも多く60.1%,社会勉強のため20.5%,就職に備えて6.9%であった。週5日アルバイトをしている学生はそう多くはなかったが,週3~4日のものは1年生41.7%,2年生42.0%,3年生36.2%,4年生38.6%であった。経済事情ゆえに,大学生のアルバイト就業率は高く,大学の課業に差し障りかねない実態があった。
考 察
小学生から学校段階ごとに放課後を評価できる尺度のうち,最後となった大学生用の放課後生活評価尺度を作成する目的で調査を行った。本報告では,生活の実態について検討した。大学生における放課後の生活の充実度の平均は3.3で「まあ充実している」までは至っていなかった。自己肯定感と充実度との間には相関(r=.305)があった。資格取得志向性も高かった。高校生よりは「学び」が多いとはいえ,十分とは言えない状況であった。
放課後は,教育課程に基づいて学ぶ学校での学習活動とは異なり,生徒・学生自身や家庭の主体性を生かしてさまざまな学びや活動が自由にできる時間であり,生徒・学生にとって,今後の発達や学習,キャリア形成に重要な機会となっている。
本研究の目的は,中学生・高校生・大学生が放課後,充実して過ごしているか,どのように過ごしているか,その生活実態を把握することである。
方 法
調査対象者:Web調査(クロス・マーケティング社)に参加した全国の中学生を持つ親200名と高校生200名(うちわけ,中学生⇒性別:男子105名,女子95名。学年:1年生63名,2年生76名,3年生61名 高校生⇒性別:男子118名,女子82名。学年:1年生51名,2年生61名,3年生88名。)大学生546名。大学生の調査では,研究者自身が配布,回収した。(うちわけ,性別:男子294名,女子246名。学年:1年生204名,2年生143名,3年生116名,4年生83名。)
調査項目:放課後生活評価尺度を構成する項目として,放課後の過ごし方を具体的な行動としてとらえる27項目を設定した。大学生には項目の内容や表現が若干異なるものの同じく27項目を設定し,評定はいずれも,この1ヵ月間の放課後(平日)にしたことを,0日(ぜんぜん),1日(たまに),2から3日(ときどき),4日(よく),5日(いつも)の5件法で回答を求めた。その他,大学生にはアルバイトなどについてたずねた。
手続き:Web調査は2015年3月,大学生調査は2015年7月に実施された。
結 果
1.中学生・高校生・大学生の放課後生活の構造
中学生と高校生は同じ27項目で,探索的因子分析(最尤法,プロマックス回転)を行った。大学生は単独で因子分析した。両者とも,因子負荷量が.35に達しなかった項目を分析から除いたところ,「運動」,「学び」,「自由」,「交友」,「家族」の5つの因子にわかれた。放課後の生活には5つの領域があることが示された。
2.中学生・高校生・大学生の放課後の過ごし方
Figure 1に中学1年生から大学4年生までの10学年の領域別平均評価点を示す。これによると「運動」は中学1年生がピークであり,「学び」「交友」では高校生が低く,大学生は比較的高くなっていた。大学が入学しやすくなったためか,高校生は受験のための勉強に,放課後費やす日数はそれほど多くないようであった。「家族」は中学生が高かったが,年長になるにつれ減少し,大学生では低くなっていた。
3.大学生の放課後の生活
大学生では,そのまま自宅に戻るものが4割ほどいたが,多くは週のうち複数日は自宅以外で過ごしていた。アルバイト先が51.4%,店に寄るが67.1%,友だちの家が12.6%などであった。習い事は2.9%,スポーツクラブ3.1%であった。
アルバイトをしていない学生は31.6%いたが,週1~2日(20.7%),週3~4日(40.0%),週5日以上(7.5%)とアルバイトをしている学生が多かった。その理由は,お金のためがもっとも多く60.1%,社会勉強のため20.5%,就職に備えて6.9%であった。週5日アルバイトをしている学生はそう多くはなかったが,週3~4日のものは1年生41.7%,2年生42.0%,3年生36.2%,4年生38.6%であった。経済事情ゆえに,大学生のアルバイト就業率は高く,大学の課業に差し障りかねない実態があった。
考 察
小学生から学校段階ごとに放課後を評価できる尺度のうち,最後となった大学生用の放課後生活評価尺度を作成する目的で調査を行った。本報告では,生活の実態について検討した。大学生における放課後の生活の充実度の平均は3.3で「まあ充実している」までは至っていなかった。自己肯定感と充実度との間には相関(r=.305)があった。資格取得志向性も高かった。高校生よりは「学び」が多いとはいえ,十分とは言えない状況であった。