[PD53] インクルーシブ教育について
保育士養成校における意識調査から
キーワード:インクルーシブ教育, 保育士養成校, 特別支援
はじめに
昨今,義務教育段階の全児童・生徒数が減少傾向にあるなかで,特別な支援が必要な児童生徒が増加傾向にある。文科省の発表によると,2015年5月1日現在,特別支援学校(幼稚部・小学部・中学部・高等部)に在学する幼児児童生徒数(国・公・私立計)は,137,894人である。
インクルーシブとは,「包括的な」「包み込む」という意味であり,インクルーシブ教育とは,障がいのある者とない者が共に学ぶことを通して,共生社会の実現に貢献しようという考え方に基づく教育である。インクルーシブ教育という言葉が広まり始めたのは,1994年にUNESCOによって開かれた国際会議がきっかけだと言われている。この国際会議で「Education for All(万人のための教育)」がうたわれ,可能な限りすべての子どもの能力や困りごとに応じた教育を行っていく方向性が公に打ち出された。また,2011年8月に障害者基本法が改正され,「可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒と共に教育を受けられるよう配慮」(16条)するとされた。
保育士養成校に在籍している学生が,インクルーシブ教育の基本的な理念や障害児の受け入れをどのように考えているのかを知るとともに,実際にはどのように教育に活かされているのか,インクルーシブ教育のあり方や幼児教育の現場において何を最重要課題として障害児と関わるかについて考える。
調査方法
調査時期・調査対象
2017年10月に「インクルーシブ教育」につい
て,N専門学校在籍中の学生を対象にアンケート調査を実施し,当日出席者68名(91.9%)より回収した。
調査内容
西木(2013)の「保育士養成校の学生が考える
障害児保育の専門性」注)に関するアンケート調査を参考に作成した。調査内容は①インクルーシブ教育の理解度,②障害児を受け入れるにあたり,保育者として必要なこと,③障害児を受け入れるにあたり,子どもへの関わりについて,④障がいに関する理解について,とした。フェイスシートで,性別・学年を尋ねた。
結 果
「インクルーシブ教育について知っていますか」という質問に関しては,図に示したとおりである。「良く知っている」は0人であった。「知っている」は4人(5.9%),「聞いたことがある」は11人(16.2%),「知らない」は53人(77.9%)であったことから,学生の8割がインクルーシブ教育に関して,知識を得ていないということがわかった。1・2年生とも,「インクルーシブ」という言葉については,知らない学生が多くいたことは,今後の講義に活かしていかなければならいと考える。
「障害児保育」の講義等で,知識を身につけさせる必要があると強く感じられた。
注)西木貴美子(2013)『保育士養成校の学生が考える障害児保育の専門性-KJ法を用いたスモールグループディスカッションによる検討-』四天王寺大学紀要第56号 pp.217~227
昨今,義務教育段階の全児童・生徒数が減少傾向にあるなかで,特別な支援が必要な児童生徒が増加傾向にある。文科省の発表によると,2015年5月1日現在,特別支援学校(幼稚部・小学部・中学部・高等部)に在学する幼児児童生徒数(国・公・私立計)は,137,894人である。
インクルーシブとは,「包括的な」「包み込む」という意味であり,インクルーシブ教育とは,障がいのある者とない者が共に学ぶことを通して,共生社会の実現に貢献しようという考え方に基づく教育である。インクルーシブ教育という言葉が広まり始めたのは,1994年にUNESCOによって開かれた国際会議がきっかけだと言われている。この国際会議で「Education for All(万人のための教育)」がうたわれ,可能な限りすべての子どもの能力や困りごとに応じた教育を行っていく方向性が公に打ち出された。また,2011年8月に障害者基本法が改正され,「可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒と共に教育を受けられるよう配慮」(16条)するとされた。
保育士養成校に在籍している学生が,インクルーシブ教育の基本的な理念や障害児の受け入れをどのように考えているのかを知るとともに,実際にはどのように教育に活かされているのか,インクルーシブ教育のあり方や幼児教育の現場において何を最重要課題として障害児と関わるかについて考える。
調査方法
調査時期・調査対象
2017年10月に「インクルーシブ教育」につい
て,N専門学校在籍中の学生を対象にアンケート調査を実施し,当日出席者68名(91.9%)より回収した。
調査内容
西木(2013)の「保育士養成校の学生が考える
障害児保育の専門性」注)に関するアンケート調査を参考に作成した。調査内容は①インクルーシブ教育の理解度,②障害児を受け入れるにあたり,保育者として必要なこと,③障害児を受け入れるにあたり,子どもへの関わりについて,④障がいに関する理解について,とした。フェイスシートで,性別・学年を尋ねた。
結 果
「インクルーシブ教育について知っていますか」という質問に関しては,図に示したとおりである。「良く知っている」は0人であった。「知っている」は4人(5.9%),「聞いたことがある」は11人(16.2%),「知らない」は53人(77.9%)であったことから,学生の8割がインクルーシブ教育に関して,知識を得ていないということがわかった。1・2年生とも,「インクルーシブ」という言葉については,知らない学生が多くいたことは,今後の講義に活かしていかなければならいと考える。
「障害児保育」の講義等で,知識を身につけさせる必要があると強く感じられた。
注)西木貴美子(2013)『保育士養成校の学生が考える障害児保育の専門性-KJ法を用いたスモールグループディスカッションによる検討-』四天王寺大学紀要第56号 pp.217~227