[PG11] 学童期における重さの単位の発見に関する研究
重さの保存との関連に着目して
キーワード:重さの保存, 個別単位, 2つの過程
目 的
目的1:「重さの保存」の獲得と重さの「個別単位」発見の関係を検討する。具体的には,重さの「個別単位」の発見には,「重さの保存」の獲得が必要か,そしてそれだけで十分なのか,また,「重さの保存」以外に必要な要因があるのならば,それはどのようなものか,について検討する。目的2:「重さの単位」(gやkgなどの普遍単位)を使用している実態を把握し,その背景について検討する。
方 法
参加児は小学校3年生~6年生まで197人であった。質問紙を用いて行った。その構成は1~5「重さの保存課題」(以下,「保存課題),6~7「単位課題」,8~13「生活・体験課題」となっている。「単位課題」は,重さの単位指導における「直接比較」「間接比較」「個別単位(任意単位ともいう)」「普遍単位」の中の「個別単位」を発見することを課題としている。子どもは,質問紙に判断した結果とその理由を記述した。
結果と考察
Figure 1に「単位課題」と「保存4課題」の年齢群(学年を半年ごとに分けた群)ごとの通過率を示した。「保存4課題」は「保存課題」の中の「うすくする」課題,「ひも」課題,「小さな玉」課題,「体重計」課題の4課題がすべて通過した割合を示している。また,「単位課題」は質問紙の「問6」を通過した割合を示している。また,「保〇単×」などにおける「保」は「保存4課題」,「単」は「単位課題」,〇は課題通過,×は課題不通過を示している。グラフから保存獲得が先行していると考えられる。「保存4課題」は107月~124月で,「保〇単〇」は114月~124月と139月~149月で通過している割合の変化が大きくなっている。一方,「保存4課題」のみ通過の割合は145月~149月で減少し,「保存4課題」通過と「保〇単〇」の割合が接近している。また,どの学年にも,「保存4課題」は通過しないが「単位課題」を通過している子どもが,平均すればおよそ15%程度存在する。
保存4課題の通過率が高くなるにつれ,「保〇単〇」の通過率が高くなり,145月から両者はほぼ同じ通過率になる。「個別単位」を獲得する上で保存の獲得は重要な要因になっていると推察される。「個別単位」の獲得には2つの過程があり,1つは重さの保存を獲得したうえで「個別単位」に至る過程,2つめは重さの保存は不確かなままだが「個別単位」に至る過程である。
「保存4課題」を通過せず「単位課題」を通過している子どもの理由から,次のような特徴が見いだされた。「いくつ分かで考えている」「同じもので比べている」「積み木ではかっている」などである。この子ども達は「比べ方」「はかり方」などの論理的な「考え方」を獲得しており,それを用いて保存の概念が不確かなままだが「個別単位」に至ったと考えられる。
重さの単位(gやkg)は4年生になるころから日常生活でほとんどの子どもが不自由なく使用できると思われる。しかし,「知って」「使う」ことと「単位の理解」は別のことであると考えられる。
目的1:「重さの保存」の獲得と重さの「個別単位」発見の関係を検討する。具体的には,重さの「個別単位」の発見には,「重さの保存」の獲得が必要か,そしてそれだけで十分なのか,また,「重さの保存」以外に必要な要因があるのならば,それはどのようなものか,について検討する。目的2:「重さの単位」(gやkgなどの普遍単位)を使用している実態を把握し,その背景について検討する。
方 法
参加児は小学校3年生~6年生まで197人であった。質問紙を用いて行った。その構成は1~5「重さの保存課題」(以下,「保存課題),6~7「単位課題」,8~13「生活・体験課題」となっている。「単位課題」は,重さの単位指導における「直接比較」「間接比較」「個別単位(任意単位ともいう)」「普遍単位」の中の「個別単位」を発見することを課題としている。子どもは,質問紙に判断した結果とその理由を記述した。
結果と考察
Figure 1に「単位課題」と「保存4課題」の年齢群(学年を半年ごとに分けた群)ごとの通過率を示した。「保存4課題」は「保存課題」の中の「うすくする」課題,「ひも」課題,「小さな玉」課題,「体重計」課題の4課題がすべて通過した割合を示している。また,「単位課題」は質問紙の「問6」を通過した割合を示している。また,「保〇単×」などにおける「保」は「保存4課題」,「単」は「単位課題」,〇は課題通過,×は課題不通過を示している。グラフから保存獲得が先行していると考えられる。「保存4課題」は107月~124月で,「保〇単〇」は114月~124月と139月~149月で通過している割合の変化が大きくなっている。一方,「保存4課題」のみ通過の割合は145月~149月で減少し,「保存4課題」通過と「保〇単〇」の割合が接近している。また,どの学年にも,「保存4課題」は通過しないが「単位課題」を通過している子どもが,平均すればおよそ15%程度存在する。
保存4課題の通過率が高くなるにつれ,「保〇単〇」の通過率が高くなり,145月から両者はほぼ同じ通過率になる。「個別単位」を獲得する上で保存の獲得は重要な要因になっていると推察される。「個別単位」の獲得には2つの過程があり,1つは重さの保存を獲得したうえで「個別単位」に至る過程,2つめは重さの保存は不確かなままだが「個別単位」に至る過程である。
「保存4課題」を通過せず「単位課題」を通過している子どもの理由から,次のような特徴が見いだされた。「いくつ分かで考えている」「同じもので比べている」「積み木ではかっている」などである。この子ども達は「比べ方」「はかり方」などの論理的な「考え方」を獲得しており,それを用いて保存の概念が不確かなままだが「個別単位」に至ったと考えられる。
重さの単位(gやkg)は4年生になるころから日常生活でほとんどの子どもが不自由なく使用できると思われる。しかし,「知って」「使う」ことと「単位の理解」は別のことであると考えられる。