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[R24-O-7] 南鳥島マンガンノジュールの核の地球化学的特徴
キーワード:マンガンノジュール、核、地球化学、ICP-MS、南鳥島EEZ
世界の海洋底には,マンガンノジュール (ferromanganese nodules, Fe-Mn nodules) と呼ばれる,主にマンガン (Mn) と鉄 (Fe) の酸化物から成る化学堆積岩が分布していることが知られている.このマンガンノジュールには,コバルト (Co) やニッケル (Ni),銅 (Cu) などの現代産業に欠かせない重要な金属元素が高濃度で含まれていることから,海底鉱物資源の一つとして期待されており[1],特に北東太平洋のマンガンノジュール濃集帯 (Clarion-Clipperton Zone: CCZ) では,日本を含め各国が鉱物資源として開発することを目的とした調査・研究を精力的に行なっている [1]. このような中,2010年に日本近海の南鳥島周辺の排他的経済水域 (EEZ) 内において実施された調査航海において,マンガンノジュールの密集域が発見された [2].さらに,この発見を受けて2016 年および 2017 年に実施された航海では,南鳥島 EEZ 内の広い範囲にマンガンノジュール密集域が分布することも明らかとなっている [3].採取されたマンガンノジュールには,Co や Ni などの金属元素が豊富に含まれていることから,新規国産資源としての期待も高まっている [4]. 海底鉱物資源の開発に際して有望海域を選定するためには,資源の空間分布を支配する要因の解明が不可欠である.マンガンノジュールの分布を支配する要因の一つとしては,古くから堆積速度が指摘されている[5].堆積速度の速い環境では,マンガンノジュールは速やかに堆積物中に埋没し,海水や間隙水からの Fe, Mn の供給が途絶えるために,成長を継続することができない.そのため,マンガンノジュールの形成には,堆積速度が遅く,堆積物に被覆されない環境が必須であると考えられている.また,この堆積速度が遅い環境については,古くから深層海流の流路と一致することが指摘されている [5,6].ただし,堆積速度が遅い海域に必ずしもマンガンノジュールが存在するわけではない.すなわち,堆積速度以外にもマンガンノジュール形成を支配する条件があり,両方が揃わなければノジュールの濃集帯は形成されないと考えられる. このマンガンノジュール形成に必要なもう一つの条件を解明する鍵として,核の存在が注目される.ほぼ全てのマンガンノジュールはその内部に核を有しており,核がマンガンノジュール形成のトリガーになっていると考えられる.そのため,核が供給されることはマンガンノジュールの形成に必要な条件と考えらる.そこで本研究では,南鳥島EEZから採取されたマンガンノジュールの核からタングステンカーバイドドリルで粉末試料を削り出し,これをICP-MSで分析して主成分・微量元素濃度を定量した. 本発表では,化学組成に基く南鳥島マンガンノジュールの核の起源について議論を行う.
<引用文献>
[1] Hein et al. (2013) Ore Geology Reviews, 51, 1–14.
[2] 石井・平野 (2010) 深田地質研究所ニュース 109, 26-28.
[3] Machida et al. (2019) Marine Georesources & Geothechnology, 1-13.
[4] Machida et al. (2016) Geochemical Journal, 50, 539–555.
[5] Goodel et al. (1971) Antarctic Res. Ser., 15, 27–92.
[6] Kennett, J. P., & Watkins, N. D. (1975) Science, 188(4192), 1011–1013.
<引用文献>
[1] Hein et al. (2013) Ore Geology Reviews, 51, 1–14.
[2] 石井・平野 (2010) 深田地質研究所ニュース 109, 26-28.
[3] Machida et al. (2019) Marine Georesources & Geothechnology, 1-13.
[4] Machida et al. (2016) Geochemical Journal, 50, 539–555.
[5] Goodel et al. (1971) Antarctic Res. Ser., 15, 27–92.
[6] Kennett, J. P., & Watkins, N. D. (1975) Science, 188(4192), 1011–1013.