[摂食P-10] 脳梗塞および進行性核上性麻痺を有する患者の食支援を多職種で行った一例
【目的】
進行性核上性麻痺(PSP)は高頻度で嚥下障害を引き起こす神経変性疾患である。今回,施設職員と連携しPSP患者に食支援を行った症例を報告する。
【症例】
80歳男性。X年11月に脳梗塞を再発し入院中にPSPと診断され,X+1年3月に介護老人保健施設に入所した。入所時の患者の食事に対する希望がパンの摂取であったが,食事中の安全性に不安があるため摂食嚥下機能評価の依頼があった。
【経過と考察】
初診時のRSSTは1回,右側不全麻痺,構音障害を認め,喀出力は弱かった。食事場面の評価では,かき込み食べや咀嚼不良,食渣の口腔内残留を認めた。喉頭挙上がやや不良であったが,頸部聴診上咽頭残留を認める所見はなかった。パンは水分との交互嚥下を行うことで摂取が可能と判断した。この時点では歩行器による短距離の歩行や車椅子座位保持は可能であった。週1回はSTが,月2回は歯科医師が摂食嚥下訓練を行った。週2~3回OTとPTによるリハビリも行った。6月頃から筋力低下が顕著になり歩行困難を認め嚥下機能も低下したため,VEを実施し食事摂取方法の指導を行った。その後,パンの咀嚼が困難になったが患者の希望が強いため,ST,看護師,介護士,栄養士とミールラウンドを月1~2回実施し,パンの大きさの工夫やスープを追加するなど食事摂取方法の確認や食形態の工夫を行った。11月,体幹保持が困難になるともに嚥下反射の遅延が顕著になったため,水分のとろみ付与と窒息へのリスク回避からパンの提供を中止した。12月に療養型病院へ移動となった。
本症例では,多職種による頻回のミールラウンドを行うことで,本人の希望に配慮しながらPSPの進行に合わせた対応を行うことができたと考える。
進行性核上性麻痺(PSP)は高頻度で嚥下障害を引き起こす神経変性疾患である。今回,施設職員と連携しPSP患者に食支援を行った症例を報告する。
【症例】
80歳男性。X年11月に脳梗塞を再発し入院中にPSPと診断され,X+1年3月に介護老人保健施設に入所した。入所時の患者の食事に対する希望がパンの摂取であったが,食事中の安全性に不安があるため摂食嚥下機能評価の依頼があった。
【経過と考察】
初診時のRSSTは1回,右側不全麻痺,構音障害を認め,喀出力は弱かった。食事場面の評価では,かき込み食べや咀嚼不良,食渣の口腔内残留を認めた。喉頭挙上がやや不良であったが,頸部聴診上咽頭残留を認める所見はなかった。パンは水分との交互嚥下を行うことで摂取が可能と判断した。この時点では歩行器による短距離の歩行や車椅子座位保持は可能であった。週1回はSTが,月2回は歯科医師が摂食嚥下訓練を行った。週2~3回OTとPTによるリハビリも行った。6月頃から筋力低下が顕著になり歩行困難を認め嚥下機能も低下したため,VEを実施し食事摂取方法の指導を行った。その後,パンの咀嚼が困難になったが患者の希望が強いため,ST,看護師,介護士,栄養士とミールラウンドを月1~2回実施し,パンの大きさの工夫やスープを追加するなど食事摂取方法の確認や食形態の工夫を行った。11月,体幹保持が困難になるともに嚥下反射の遅延が顕著になったため,水分のとろみ付与と窒息へのリスク回避からパンの提供を中止した。12月に療養型病院へ移動となった。
本症例では,多職種による頻回のミールラウンドを行うことで,本人の希望に配慮しながらPSPの進行に合わせた対応を行うことができたと考える。