[O一般-023] 小型3Dカメラを応用した嚥下時における口唇動作と口腔期嚥下時間の関連性の解明
【 目 的 】
小型3Dカメラによる測定と嚥下造影検査( VF )を同時に実施し、口唇動作と嚥下動態を同期・解析し、関連性の解明を目的とした*。
【 方 法 】
小型3Dカメラは、Microsoft XBox One Kinect Sensor® ( Kinect ) を採用し、公開されている開発用ソフトウェアKinect for Windows SDK v2.0 を参考に、顔面形状をマーカーレスで認識するソフトウェア( Face Tracking )を用いた。Face Tracking にて両側口角の三次元的位置情報を取得し、口角間距離の記録が可能なプログラムを作製した。
スクリーニング上では異常は認められないが、軽いムセ等が認められ精査が必要と判断された高齢男性14名( 平均年齢75.8±8.4歳 )を被験者とし、試料はバリウム混濁液5mL、10 mL、15 mL、20 mLとした。試料は乱数表に基づいて嚥下する順番を決定し、3回繰り返した。また、VFにてPenetration-Aspiration Scale ( PAS )により喉頭侵入や誤嚥の有無を評価した。KinectとVFにより同時測定し、得られたデータは、ビデオ音声同期ソフトELAN にて同期・解析した。Kinectにより口角を認識させ口角間距離変位量( 変位量 )を算出し、VF から得られた映像により口腔期嚥下時間( 嚥下時間 )を求め、嚥下量を独立変数、変位量と嚥下時間を従属変数として統計学的に検討した。
【 結果および考察 】
PASによる被験者の嚥下機能を評価した結果、喉頭侵入や誤嚥は認められなかった。
嚥下量と変位量は、5mLと15 mL、5 mLと20 mL、10 mLと20 mLに有意差を認め( P=0.013, P<0.001, P=0.006 )、嚥下量と嚥下時間は、5mLと15 mL、5 mLと20 mLに有意差を認めた( P=0.001, P<0.001 )。また、変位量と嚥下時間は正の相関関係を認めた( P=0.004, r=0.383 )。
嚥下に関わる口腔周囲の筋群の協調運動と口腔期の嚥下動態には関連性があると考えられた。口唇動作は嚥下時間に影響を及ぼし、口腔期嚥下時間や嚥下量が予測できる可能性が示唆された。
【 文 献 】
*Yamamoto Y et al. J Oral Rehabil. 2019 Nov 28. doi: 10.1111/joor.12916.
( 鹿児島大学 疫学研究等倫理委員会 承認番号:170117(704)疫-改3 )
小型3Dカメラによる測定と嚥下造影検査( VF )を同時に実施し、口唇動作と嚥下動態を同期・解析し、関連性の解明を目的とした*。
【 方 法 】
小型3Dカメラは、Microsoft XBox One Kinect Sensor® ( Kinect ) を採用し、公開されている開発用ソフトウェアKinect for Windows SDK v2.0 を参考に、顔面形状をマーカーレスで認識するソフトウェア( Face Tracking )を用いた。Face Tracking にて両側口角の三次元的位置情報を取得し、口角間距離の記録が可能なプログラムを作製した。
スクリーニング上では異常は認められないが、軽いムセ等が認められ精査が必要と判断された高齢男性14名( 平均年齢75.8±8.4歳 )を被験者とし、試料はバリウム混濁液5mL、10 mL、15 mL、20 mLとした。試料は乱数表に基づいて嚥下する順番を決定し、3回繰り返した。また、VFにてPenetration-Aspiration Scale ( PAS )により喉頭侵入や誤嚥の有無を評価した。KinectとVFにより同時測定し、得られたデータは、ビデオ音声同期ソフトELAN にて同期・解析した。Kinectにより口角を認識させ口角間距離変位量( 変位量 )を算出し、VF から得られた映像により口腔期嚥下時間( 嚥下時間 )を求め、嚥下量を独立変数、変位量と嚥下時間を従属変数として統計学的に検討した。
【 結果および考察 】
PASによる被験者の嚥下機能を評価した結果、喉頭侵入や誤嚥は認められなかった。
嚥下量と変位量は、5mLと15 mL、5 mLと20 mL、10 mLと20 mLに有意差を認め( P=0.013, P<0.001, P=0.006 )、嚥下量と嚥下時間は、5mLと15 mL、5 mLと20 mLに有意差を認めた( P=0.001, P<0.001 )。また、変位量と嚥下時間は正の相関関係を認めた( P=0.004, r=0.383 )。
嚥下に関わる口腔周囲の筋群の協調運動と口腔期の嚥下動態には関連性があると考えられた。口唇動作は嚥下時間に影響を及ぼし、口腔期嚥下時間や嚥下量が予測できる可能性が示唆された。
【 文 献 】
*Yamamoto Y et al. J Oral Rehabil. 2019 Nov 28. doi: 10.1111/joor.12916.
( 鹿児島大学 疫学研究等倫理委員会 承認番号:170117(704)疫-改3 )