[O7-2] 集中治療領域における新人看護師の臨床判断の現状と教育支援ー対話による省察支援過程の分析からー
キーワード:新人看護師教育、臨床判断モデル、省察支援
<背景>
集中治療領域に配属された新人看護師は、学生時代には殆ど経験しない重症患者に対する迅速で多面的な臨床判断能力が求められる。Tanner(2006)の臨床判断モデルは臨床の場における看護師の思考を表現しており、臨床判断モデルに沿って構造化された省察支援による学習者の思考や臨床判断能力の向上が報告されている(Nielsen,Stragnell,&Jester,2007)。これまでも業務後の振り返りをすることで能力育成の支援を行ってきたが、より効果的と考えられる臨床判断モデルを枠組みとして用いた対話による省察支援に取り組んだ。
<目的>
臨床判断モデルを用いた対話による省察支援過程から、集中治療領域の新人看護師の臨床判断の現状を明らかにし、臨床判断能力育成のための教育支援の示唆を得る。
<方法>
集中治療領域の新人看護師を参加観察後、新人看護師が臨床判断を行った状況を共有し、臨床判断モデルの「気づき」「解釈」「反応」「省察」に沿って対話による省察支援を行い、内容を記述し分析した。省察支援後の新人看護師に対して、省察支援を受けて感じたことや考えたこと、臨床判断能力育成のための支援方法についてインタビューし、逐語録を分析した。本研究は所属施設の研究倫理審査委員会の承認を得た上で実施した。
<結果>
期間は2018年8月~9月、対象はA病院心臓血管系集中治療室の新人看護師2名であった。参加観察の結果、新人看護師が臨床判断を行ったのは、患者の血圧変動時、患者の疼痛発生時、患者の尿量増加時、患者の発熱時の合計8事例であった。8事例に対して行った省察支援内容を分析した結果、臨床判断モデルの過程で支援を必要としたのは、「解釈」5事例、「反応」2事例、「行為中の省察」1事例であった。新人看護師は、これまで得た知識や経験を基に臨床判断を行っていたが、初めて直面した状況においては解釈や反応が状況に適しておらず、病態生理学やガイドラインを用いた知識提供や、行為や判断についての助言を受けることで、初めての状況に対する新たな解釈や反応や次の状況への臨床的な学びを得ていた。また、インタビュー調査の結果、新人看護師が認識する臨床判断モデルを用いた省察支援の効果は【自分の思考を系統立てて捉えることができる】【自分と他者の思考の違いを客観的にみられる】【状況を他者と共有できる】【省察が次の状況への臨床的な学びや自信につながる】【他者との対話や自己省察や自己学習の道具となる】であり、対話を用いた省察支援の効果は【自分の思考を他者に伝える場となる】【状況を整理できる場となる】【自分の引き出しを広げる場となる】であった。
<結論>
臨床判断モデルを用いた対話による省察支援により、新人看護師の臨床判断の過程や新人看護師が必要とする支援内容や方法を新人看護師と他者とで言語化し共有することが可能となり、集中治療領域における新人看護師の臨床判断能力の育成支援につながることが示唆された。
集中治療領域に配属された新人看護師は、学生時代には殆ど経験しない重症患者に対する迅速で多面的な臨床判断能力が求められる。Tanner(2006)の臨床判断モデルは臨床の場における看護師の思考を表現しており、臨床判断モデルに沿って構造化された省察支援による学習者の思考や臨床判断能力の向上が報告されている(Nielsen,Stragnell,&Jester,2007)。これまでも業務後の振り返りをすることで能力育成の支援を行ってきたが、より効果的と考えられる臨床判断モデルを枠組みとして用いた対話による省察支援に取り組んだ。
<目的>
臨床判断モデルを用いた対話による省察支援過程から、集中治療領域の新人看護師の臨床判断の現状を明らかにし、臨床判断能力育成のための教育支援の示唆を得る。
<方法>
集中治療領域の新人看護師を参加観察後、新人看護師が臨床判断を行った状況を共有し、臨床判断モデルの「気づき」「解釈」「反応」「省察」に沿って対話による省察支援を行い、内容を記述し分析した。省察支援後の新人看護師に対して、省察支援を受けて感じたことや考えたこと、臨床判断能力育成のための支援方法についてインタビューし、逐語録を分析した。本研究は所属施設の研究倫理審査委員会の承認を得た上で実施した。
<結果>
期間は2018年8月~9月、対象はA病院心臓血管系集中治療室の新人看護師2名であった。参加観察の結果、新人看護師が臨床判断を行ったのは、患者の血圧変動時、患者の疼痛発生時、患者の尿量増加時、患者の発熱時の合計8事例であった。8事例に対して行った省察支援内容を分析した結果、臨床判断モデルの過程で支援を必要としたのは、「解釈」5事例、「反応」2事例、「行為中の省察」1事例であった。新人看護師は、これまで得た知識や経験を基に臨床判断を行っていたが、初めて直面した状況においては解釈や反応が状況に適しておらず、病態生理学やガイドラインを用いた知識提供や、行為や判断についての助言を受けることで、初めての状況に対する新たな解釈や反応や次の状況への臨床的な学びを得ていた。また、インタビュー調査の結果、新人看護師が認識する臨床判断モデルを用いた省察支援の効果は【自分の思考を系統立てて捉えることができる】【自分と他者の思考の違いを客観的にみられる】【状況を他者と共有できる】【省察が次の状況への臨床的な学びや自信につながる】【他者との対話や自己省察や自己学習の道具となる】であり、対話を用いた省察支援の効果は【自分の思考を他者に伝える場となる】【状況を整理できる場となる】【自分の引き出しを広げる場となる】であった。
<結論>
臨床判断モデルを用いた対話による省察支援により、新人看護師の臨床判断の過程や新人看護師が必要とする支援内容や方法を新人看護師と他者とで言語化し共有することが可能となり、集中治療領域における新人看護師の臨床判断能力の育成支援につながることが示唆された。