第18回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

シンポジウム

[SY5] クリティカルケア領域における終末期ケアの質

2022年6月11日(土) 14:10 〜 15:40 第10会場 (総合展示場 G展示場)

座長:伊藤 真理(川崎医療福祉大学)
   小島 朗(大原綜合病院)
演者:相楽 章江(山口大学医学部附属病院 看護部)
   三須 侑子(自治医科大学附属病院 看護部)
   森山 美香(島根県立大学看護栄養学部看護学科)
   加藤 茜(信州大学医学部保健学科)

15:00 〜 15:20

[SY5-03] クリティカルケア領域における終末期患者の意思決定支援の現状と課題

○森山 美香1 (1. 島根県立大学看護栄養学部看護学科)

キーワード:終末期、意思決定支援、Quality of death

救命や回復に向けた積極的治療を最優先とするクリティカルケア領域においても、終末期患者のその人らしさを尊重した治療やケアの選択をすることが重要視されている。患者のその人らしさを尊重した治療やケアの選択においては、患者の価値観、死生観、人生観、信念や希望等を踏まえて意思決定することが必要となる。
クリティカルケア領域においては、終末期患者は意識障害や鎮静下にあり自らの意思を伝えることができない場合がある。そのため家族が代理意思決定をせざるを得ないこともある。家族においては精神的な危機状態にあることに加え、大切な家族の生命を左右する治療の意思決定をするという重圧がかかる。また患者との意向が異なる場合や医療者との価値観の違い葛藤や苦悩を感じやすいことから、代理意思決定はPICS-Fを引き起こす危険性もある。一方で、終末期の治療における代理意思決定において医療者と患者の望みについて議論することなど十分な支援が受けられた場合、遺族の満足度は高くなるとされている。
クリティカルケア看護師は、限られた時間のなかで、患者家族の置かれている状況を念頭に置き、家族と医師との橋渡し、環境調整、多職種でカンファレンスをするなど医療・看護チームで協働して、患者家族の意向に沿った治療選択の支援をしている。しかし、看護師は関係性のない家族と関わることへの困難さや、価値観の違いによるジレンマを感じている。また終末期の意思決定の場に同席しても、擁護者としての役割が果たせていない現状もある。
終末期患者がその人らしい最期を迎え、死の質を向上させるために、患者や家族の意向をもとに医療チームとしての見解や判断を家族と一緒に話し合い、共に決断していけるようコミュニケーションスキルを高めていくことが求められる。