第6回日本在宅医療連合学会大会

講演情報

ポスター

04-2:キャリア

一般演題(ポスター)キャリア・倫理的課題・その他

2024年7月21日(日) 10:10 〜 10:40 ポスター会場1 (コンベンションホールA)

座長:伊藤 真美(医療法人社団 花の谷クリニック)

10:30 〜 10:35

[P-2-12] 知的障がい者の移行医療と終末期医療

*黒崎 史果1、藤田 恭子1、大嶋 茉莉子1、加藤 浩光1、山下 正子2 (1. 菅間在宅診療所、2. ほほえみ訪問看護ステーション)

【はじめに】地域包括ケアシステムを共に構築する多職種との関わりにより、引きこもりや虐待、貧困などの社会的問題を抱える患者家族への支援依頼が増えた。その中で、知的障がい者への支援には困難やもどかしさを感じたため、これを報告する。なお、報告にあたり日本医学会連合研究倫理委員会「学術集会への演題応募における倫理的手続きに関する指針」を遵守している。
【症例】直近10年間に担当した知的障がい者は17名で、そのうち医療的ケアを必要としない10名についてまとめた。知的障害の原因は6名がダウン症候群、3名が原因不明、1名が脳性麻痺。障害の程度は最重度知的障害4名、重度4名、軽度2名。初診時の年齢は36歳から82歳(平均53歳)。居住地は自宅5名、障がい者グループホーム1名、認知症対応グループホーム1名、特別養護老人ホーム1名、障がい者短期入所施設1名、障がい者入居施設1名であった。往診を依頼した理由は、①親の加齢による通院困難、②本人の身体面・精神面の変化による通院困難、③施設入所に伴う主治医変更、の3つに集約出来た。①②の場合は、医師・相談支援専門員・行政職員の勧めで往診が開始となった。
【考察】10名のうち、かかりつけ医がいたのは3名で、他は体調不良時に近医を受診するか、全く医療機関を受診していなかった。既に親が他界したり認知症を患ったりしている患者が多く、医師・相談支援専門員が関わっていない患者では、成育歴や病歴を確認することが困難だった。また、初診時に経口摂取不良で早急なACP実施が必要だった2例では、代理意思決定者である兄弟姉妹が施設での看取りを希望したものの、施設側の体制が整わず入院にせざるをえなかった。以上から、当地域では知的障がい者の移行医療及び終末期医療には取り組むべき課題が多いと感じた。他地域を参考に、多職種と共に取り組んでいきたい。