第6回日本在宅医療連合学会大会

講演情報

一般演題(ポスター)

13-3:がん

一般演題(ポスター)がん2・難病1

2024年7月21日(日) 10:10 〜 10:50 ポスター会場3 (コンベンションホールA)

座長:融 衆太(新渡戸記念中野総合病院 脳神経内科)

10:40 〜 10:45

[P-2-109] 癌自壊創に対して、当院でのアセスメントおよび緩和ケア対応

*清水 秀浩1 (1. 医療法人光輪会 さくらクリニック)

【はじめに】癌の自壊創とは、癌性創傷ともとばれ、皮下に生じた癌が増大することで皮膚を破り創傷を形成したものである。患者およびご家族は、皮膚に露出および自壊した腫瘍を目視することで、病状・予後への不安を抱えている。特に痛み、におい、出血、多量の浸出液など創傷ケアに対しては、患者や家族の希望をしっかり尊重した上で緩和ケアを行っていく必要性がある。この度、乳癌の皮膚転移により自壊創を併発した一例を経験したので、当院でのアプローチを踏まえ報告する。また、報告にあたり、日本医学会連合研究倫理委員会「学術集会への演題応募における倫理的手続きに関する指針」(2023年3月30日)の「5.1症例報告」に記載された対応をとっている。
【症例】97歳の女性。近医で右進行性乳癌と診断され、手術加療の希望はなく、経口ホルモン療法による治療のみをご希望されて通院されていた。しかし、ADL低下に伴い通院困難となり、緩和医療を中心とした対応を当院で希望され、在宅訪問診療介入となった。初診時から、右乳房C領域に約10㎝ほどの腫瘤を認めていた。潰瘍も伴い、出血しやすく、軽度臭気も認める状態であった。
【考察】癌自壊創は壊死を伴うことが多く、感染や浸出液および出血コントロールが非常に重要である。今回の症例では、メトロニタゾールゲルやキシロカインゼリーなどを局所療法として使用することにより、疼痛および感染コントロールが得られ、出血に対しては、アルギン酸塩ドレッシングを使用することで、止血対応を行った。病状の進行に応じて、局所的な処置方法が変化していくため、家族やサポートしていただける多職種に対して、局所処置の方法について、しっかりした説明が非常に重要であると実感した症例であった。