一般社団法人日本鉱物科学会2022年年会・総会

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R8:変成岩とテクトニクス

2022年9月19日(月) 09:00 〜 15:30 B256 (総合教育研究棟 B棟2F)

09:00 〜 15:30

[R8P-03] 東南極セール・ロンダーネ山地で見られる超高温変成作用とメルト包有物

*東野 文子1、河上 哲生1 (1. 京大・院理)

キーワード:超高温変成作用、ナノ花崗岩、メソパーサイト、ternary feldspar

超高温変成作用とは、地殻岩石が0.5-1.8 GPa の圧力で、>900℃に達する極めて高温な変成作用とされる。東南極セール・ロンダーネ山地は、ゴンドワナ超大陸形成時に、高温変成作用を被ったとされる。これまで同山地では、超高温変成作用を記録する転石の報告はあるものの、露頭からは見つかっていなかった。同山地東部バルヒェン山に産する、露頭から採取した珪線石―ザクロ石―黒雲母片麻岩は、マトリクスおよびザクロ石の包有物としてメソパーサイトを含む。これらのメソパーサイトに対して、ternary feldspar温度計を適用した結果、圧力依存性を考慮しても、産状に依らず900℃を超える温度が得られた。これは、セール・ロンダーネ山地において、超高温変成作用が起きたことを意味する。また、ザクロ石に包有されるメソパーサイトに隣接して、ナノ花崗岩が包有される。両包有物の間に、包有時期の差異を示す微細組織は見られないことから、ナノ花崗岩は超高温メルトが包有されたものと解釈できる。本発表では、他地域の超高温メルト組成の文献値と本試料のメルト組成を比較した結果も含めて議論する。