一般社団法人日本鉱物科学会2022年年会・総会

講演情報

口頭講演

S1/R6 合同セッション:火成作用の物質科学/深成岩・火山岩・サブダクション ファクトリー

2022年9月18日(日) 09:00 〜 12:15 B351 (総合教育研究棟 B棟3F)

座長: 亀井 淳志(島根大学)、川本 竜彦(静岡大学)、浜田 盛久(海洋研究開発機構)、伴 雅雄(山形大学)

09:00 〜 09:15

[S1R6-01] 白亜紀花崗岩類の年代から見る九州と他地域との関係

*堤 之恭1、谷 健一郎1 (1. 国立科学博物館地学研究部)

キーワード:ジルコン、年代分布、白亜紀、九州、朝鮮半島

九州の白亜紀花崗岩類のジルコンU-Pb年代の報告も増えているが、その露出面積に比して十分なデータ量とは言い難い状況であった。我々は昨年度まで3年間に渡り九州の白亜紀花崗岩類について計81試料についてジルコンU-Pb年代測定を行ったので、その結果について考察する。九州の白亜紀花崗岩は、中国・四国地方のように南(海洋側)から北(大陸側)に向かって単調に若くなるのではなく、北部九州中部を中心として大陸側と海洋側双方に向かって古くなるという年代傾向を持つ。一方、朝鮮半島の白亜紀花崗岩類の年代は大陸側に向かって古くなる年代傾向を持つ。日本海形成以前の古地理を考慮すると、朝鮮半島および中国・四国地方は、大陸側および海洋側に向かって古くなる年代傾向それぞれの「断片」であり、九州はその両方を併せ持つ「端」と考えられる。しかしながら、現世に露出する白亜紀花崗岩類の年代傾向のみでの議論は、造構論的見地からは矛盾も多い。これらの矛盾を解消するためには、さらなる地質学的観測事実の蓄積が必要となるであろう。