一般社団法人日本鉱物科学会2022年年会・総会

講演情報

口頭講演

S1/R6 合同セッション:火成作用の物質科学/深成岩・火山岩・サブダクション ファクトリー

2022年9月18日(日) 09:00 〜 12:15 B351 (総合教育研究棟 B棟3F)

座長: 亀井 淳志(島根大学)、川本 竜彦(静岡大学)、浜田 盛久(海洋研究開発機構)、伴 雅雄(山形大学)

10:15 〜 10:30

[S1R6-06] 桜島火山から噴出する火山灰を構成する斜長石の構造状態(2020 年 12 月~2021年6 月)

*松井 智彰1、立山 剛吉1 (1. 鹿児島大・教育)

キーワード:桜島、火山灰、斜長石、粉末X線回折、構造状態

本研究では,火山灰に含まれる斜長石の結晶構造から火山活動を監視するための効率的な調査方法を確立することを目的とする。火山灰試料は,桜島南岳山頂火口の東北東約5 kmに位置する鹿児島市立黒神小学校で採取した。採取期間は2020年12月17日から約6ヶ月間で,火山灰から磁石を用いて磁性鉱物を取り除き,続いてポリタングステン酸ナトリウム水溶液を用いた重液によって斜長石を単離した後,粉末化した斜長石試料について,粉末X線回折装置(CuKα線)を用いて2θが21˚~33˚の範囲をより精密な条件で測定し,斜長石の構造状態を推定するために必要な回折線データを得た。その結果から,Scheidegger (1973)に従って面指数 (1-11),(-201),(131),(220),(1-31)に対応する回折線の角度(2θ)から ΒとΓを求めた。今回の調査期間では,噴火頻度が高いと斜長石は秩序度が低い構造状態となる傾向が確認され,斜長石の構造状態が火山活動を監視する物質科学的指標として有効であることが示された。