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[S1-05] 十和田火山御倉山溶岩ドームディクティタキシティック組織部の浸透率と空隙構造
キーワード:浸透率、空隙率、蒸発凝縮作用、脱ガス、ガスピクノメーター
溶岩ドームの形成は.沈み込み帯での普遍的な火山噴火様式の一つである.溶岩内に残存するガス過剰圧はドームの爆発やblock & ash flowの自破砕性を支配し,これを左右する溶岩の浸透性構造を理解することは重要である.溶岩ドーム内部や岩頸程度の封圧下における含水マグマの晩期結晶作用では,ガス相を介した蒸発凝縮作用によりディクティタキシティック組織と呼ばれる連結度の高い空隙構造が形成されることが知られている.そこで我々は,溶岩ドーム内部が広範囲に露出する十和田火山御倉山溶岩ドームの露頭において,ドーム表面から約100m内部の赤色試料とドーム頂上部由来と思われる転石の灰色試料の2種類の溶岩試料を採取し,それらの浸透率と空隙構造を測定・分析することで,本組織の脱ガスへの役割を検討した.
両試料にはディクティタキシティック組織が全面的に形成されており,その空隙内には気相成長した準安定相のシリカ鉱物が見い出された.赤色試料より灰色試料の方がより豊富であった.また赤色試料の石基部にのみ,やはり準安定の角閃石と黒雲母が存在し,溶岩ドーム内部では表面付近よりも比較的高い水蒸気圧下がマグマ固化の晩期まで続いたことを示唆している.ガスピクノメータを使用して測定した全空隙率と連結空隙率は,赤色試料でそれぞれ0.180–0.253,0.137–0.213であり,一方,灰色試料ではそれぞれ0.252–0.324,0.227–0.301と4割程高かった.蒸発-凝縮作用は基本的にメルトと鉱物相の再配置のみを引き起こすので,両試料の差はマグマ定置時の気泡量の差を反映していると考えられる.一方浸透率は,赤色試料と灰色試料でそれぞれ,1.016×10-15–2.588×10-15 (m2),4.885×10-15–1.321×10-14 (m2)となり、連結空隙率の相対的な大小と整合的な結果となった.これらは絶対値でtuffisite veinの値よりも2–4桁低く(Kendrick et al., 2016).ディクティタキシティック組織の開口径が小さいことによると考えられる.またディクティタキシティック組織はtuffisite veinのような局所構造とは異なりpervasiveな構造なので,脱ガス流束に対する効果は大きくなる,本講演では,得られた浸透率を用いて,冷却結晶化による溶岩ドーム内部の過剰間隙圧を計算し,溶岩ドームの爆発性に対するするディクティタキシティック組織の効果を評価する予定である.
両試料にはディクティタキシティック組織が全面的に形成されており,その空隙内には気相成長した準安定相のシリカ鉱物が見い出された.赤色試料より灰色試料の方がより豊富であった.また赤色試料の石基部にのみ,やはり準安定の角閃石と黒雲母が存在し,溶岩ドーム内部では表面付近よりも比較的高い水蒸気圧下がマグマ固化の晩期まで続いたことを示唆している.ガスピクノメータを使用して測定した全空隙率と連結空隙率は,赤色試料でそれぞれ0.180–0.253,0.137–0.213であり,一方,灰色試料ではそれぞれ0.252–0.324,0.227–0.301と4割程高かった.蒸発-凝縮作用は基本的にメルトと鉱物相の再配置のみを引き起こすので,両試料の差はマグマ定置時の気泡量の差を反映していると考えられる.一方浸透率は,赤色試料と灰色試料でそれぞれ,1.016×10-15–2.588×10-15 (m2),4.885×10-15–1.321×10-14 (m2)となり、連結空隙率の相対的な大小と整合的な結果となった.これらは絶対値でtuffisite veinの値よりも2–4桁低く(Kendrick et al., 2016).ディクティタキシティック組織の開口径が小さいことによると考えられる.またディクティタキシティック組織はtuffisite veinのような局所構造とは異なりpervasiveな構造なので,脱ガス流束に対する効果は大きくなる,本講演では,得られた浸透率を用いて,冷却結晶化による溶岩ドーム内部の過剰間隙圧を計算し,溶岩ドームの爆発性に対するするディクティタキシティック組織の効果を評価する予定である.