第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:ポスター発表

ポスター展示

2023年9月17日(日) 09:00 〜 18:00 ポスター会場 (121講義室(本館2F))

[P2-2-11] フッ化ジアミン銀溶液を塗布した象牙質に対するレーザーアブレーション効果の観察

〇桑田(楠瀬) 隆生1、布施 恵2 (1. 日大松戸歯 生物、2. 日大松戸歯 化学)

キーワード:象牙質、レーザーアブレーション、フッ化ジアミン銀

【目的】レーザーアブレーション(LA)は超短パルスレーザー照射による物質の蒸散現象であり,う蝕除去への応用も期待されている.しかし,レーザー照射により健常歯質が切削されるなど為害性も示されている.そこで,演者らはう蝕部への銀溶液塗布とLAの併用によるう蝕部の選択的な除去法の開発を念頭に,フッ化ジアミン銀(SDF)溶液を塗布した健常象牙質に対して超短パルスレーザー(自由電子レーザー,FEL)を照射し,SDF溶液塗布の有無によるLA効果の差を検証した.【材料と方法】試料は約1.0 mm厚に切断した歯切片とした.この切片の断面に38% SDF溶液を塗布し,SDF溶液塗布した象牙質と未塗布の象牙質に対して波長2800 mmのFELを照射した.その後,各部で照射により形成されるピットの深さを測定し,比較を行った.【結果と考察】平均強度3.99 mJ/micro-pulseのFELをSDF溶液塗布部,未塗布部のそれぞれに照射した結果,形成されるピット深さは塗布部で平均0.033 mm,未塗布部で平均0.031 mmであり,両者の間に顕著な差は認められなかった(P=0.43).一方,平均強度1.24 mJ/micro-pulseのFELを照射した場合,SDF溶液塗布部で形成されるピット深さは平均0.015 mmであるのに対し,未塗布部ではピット深さは平均0.006 mm,と両者の間に明確な差が認められた(P<0.001).この結果は,SDF溶液塗布と適切なレーザーの照射条件を組み合わせることで,う蝕部を含めた歯質の選択的な除去が可能であることを示している.
本研究は JSPS 科研費21K10236の助成により行われた.会員外共同研究者:境武志,早川建(日大理工),塚原弾,平山聡司(日大松戸歯)
【利益相反】利益相反状態にはありません.