第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:ポスター発表

ポスター展示

2023年9月17日(日) 09:00 〜 18:00 ポスター会場 (121講義室(本館2F))

[P2-2-13] 歯根膜線維芽細胞に対するコンポジットレジンの毒性の検討

〇椋 由理子1、工藤 保誠2、保坂 啓一1 (1. 徳大 院医歯薬 再生歯科、2. 徳大 院医歯薬 口腔生命)

キーワード:コンポジットレジン、歯根膜線維芽細胞、細胞毒性

近年、歯頸部付近の根面に進行する高齢者の根面う蝕が増加しており、窩洞辺縁が歯肉縁下に及ぶものも多い。その際、低侵襲修復を可能とするコンポジットレジン(以下CR)修復治療が行われる機会が少なくないが、歯根膜線維芽細胞(以下PDL細胞)への生体適合性については不明である。
CR とPDL細胞を直接接触法で培養した予備実験において、CRの種類によって生存細胞数に有意差がみられたため、本研究では各種CRの PDL細胞に対する毒性を間接接触法で検討した。CRはビューティフィルⅡLS(BFLS:松風)、ビューティーフィルフロープラス(BFF:松風)、グレースフィルバルクフロー(GFB:GC)、クリアフィルマジェスティESフロー(CF:クラレ)を用いて、ヒト不死化歯根膜線維芽細胞(hPDL)、ヒト初代培養歯根膜線維芽細胞(HPLF)に対する毒性を検討した。細胞毒性試験はセルカルチャーインサートを用いた間接法で行い、培養48、72時間後に生存細胞数を計測した。試料サイズは直径6.5㎜厚み1.5㎜とし、ISO10993-1,5、JIS T6001での作製方法を遵守した。共培養により、各試料においてhPDL細胞に対する毒性には違いが認められ特に、BFLS、BFFはPDL細胞に対する毒性が強かった。これらCRにはSPRGフィラーの含有が特徴であるため、非含有のライトフィルⅡA(松風)、ライトフィルⅡP(松風)と比較すると、PDL細胞への毒性が軽減した。HPLFにおいてもhPDLと同様の結果が得られた。試料サイズによる培養液中濃度が高いため毒性が強く結果に影響している可能性があるが、CR材料間比較による細胞毒性の違いに差が認められ、フッ化物、ストロンチウム、ホウ酸、ケイ酸、アルミニウム、ナトリウムからなるマルチイオンがリリースされるSPRGフィラーの関与が示唆された。本研究は、利益相反状態にはない。