第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:ポスター発表

ポスター展示

2023年9月17日(日) 09:00 〜 18:00 ポスター会場 (131講義室(本館3F))

[P2-3-33] 口腔扁平上皮癌細胞のMALT1転写制御因子のスクリーニング

〇千葉 忠成1、美原 希美1、根岸 翼1、勝海 怜一1 (1. 日歯大 生命歯 生化)

キーワード:MALT1、転写活性、口腔扁平上皮癌細胞

Mucosa-associated lymphoid tissue 1(MALT1)は、T細胞やB細胞の抗原受容体を介して複合体を形成し、NF-κBの活性化によりシグナル伝達することが判っている。しかし、上皮系ではその制御機構は殆どわかっていない。我々はこれまでに、口腔上皮癌細胞の表現型などの制御因子としてMALT1が発現量の増加に伴い、癌細胞の浸潤性、遊走能、MMP産生能、腫瘍形成能を低下させることを明らかにしてきた。その後の研究で、MALT1の発現増加で、細胞増殖能が著しく抑制し、細胞周期のG1期で停止することを新たに見い出した。そこで本研究では、MALT1のプロモーター領域の転写制御因子の探索に着眼点を置き、その転写制御変動がMALT1の発現に影響があるかを調べた。MALT1のエクソン1を含むプロモーター領域 -2,500から +700とその5’側から段階的に欠落させ、レポーターアッセイベクターpGL4.10に導入し、転写活性の変動を調べた。活性変動の大きい領域をさらに詳細に調べたところ、MALT1の発現抑制に関わる領域が +491から +501(GGGGAGTCGCG)に、発現増大に関わる領域が +672から+676(AACTC)に存在することがわかった。+491から +501の領域をJASPARおよびTFBINDで転写因子の検索し、いくつかの候補因子を得た。MALT1siRNAおよび特定した領域の欠失および塩基置換したところ転写活性が上昇した。さらにChIPアッセイおよびウエスタンブロットの結果から、MALT1の発現を抑制にはRELA(p65)が関与していることがわかった。一方、MALT1の発現増大する領域 +672から +676(AACTC)では、1塩基の置換(AACAC)でMALT1の発現が減弱する場所まで特定したので、本学会で研究成果を報告する。