第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:ポスター発表

ポスター展示

2023年9月18日(月) 08:30 〜 15:50 ポスター会場 (121講義室(本館2F))

[P3-2-22] OVXラットにおけるHSP70発現とエストロゲン値の相関関係について

〇天野 カオリ1、稲葉 啓太郎2、志賀 華絵1、浜田 信城2 (1. 神歯大 院歯 解剖、2. 神歯大 院歯 口腔細菌)

キーワード:OVXrat 、Salivary gland、aging

本研究は卵巣摘出ラットOVXを使用し、エストロゲン欠乏環境下でPorphyromanas. gingivalisP.gingivalis)にて歯周炎を惹起させ、歯肉と舌筋に日常的な刺激を想定してブラッシングを行った場合の歯周炎罹患組織細胞が受ける損傷レベルを観察することを目的とする。今回はP.gingivalis の感染工程を省いた対照実験を行った。実験には前回同様に9週齢OVX群と偽手術Sham群計30匹を使用した。OVXは普通飼料投与群に加えてイソフラボン含有飼料投与群、普通飼料投与+βエストラジオール(0.1mg/21day)皮下埋め込みの3群に分けた。約9カ月後に吸入麻酔下で電動歯ブラシを使用し、下顎中切歯間部歯肉と片側舌筋に(専用測定器使用下ブラッシング圧を調整)、1分間ブラッシングを行った。ブラッシング後3時間後に深麻酔下で4%パラホルムアルデヒドPA/PBS溶液にて潅流固定し、上・下顎骨を含む歯間歯肉部・舌筋と共に、唾液腺(顎下腺)を摘出した。試料は通法に従い凍結切片を作成した。損傷細胞の標識抗体としてC-fos抗体を、修復促進タンパク標識としてHSP70抗体を使用した。前回全てのOVXラットにおいてHSP70発現はSham群ラットよりも明らかに低値であった。この結果から、エストロゲンの喪失がHSP70レベルの低下に確実に影響していることが推測されたが、今回9カ月後のラット唾液腺ではβエストラジオールペレットを埋入されたラット群が、本来HSP70発現が一番高い値を示すべきSham群よりも明らかに高い発現が認められた。 このことから、まずはShamラットの高齢化によるエストロゲン値低下の可能性と、βエストラジオールの効果が十分に現れる期間効果があったことが考えられる。いずれにせよ、エストロゲン値増減とHSP70の発現推移には関連があるといえる。