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[US1-03] 幾何学的形態測定法による頭蓋縫合早期癒合症モデルマウス頭蓋形態のフェノタイピング
キーワード:頭蓋縫合早期癒合症、幾何学的形態測定法、頭蓋底軟骨結合
頭蓋縫合早期癒合症の患者は早期に頭蓋縫合や頭蓋底軟骨結合の癒合を示すことにより頭蓋顔面の形態異常を示す。本研究では、頭蓋縫合早期癒合症の病態のさらなる理解を目的として、3種類の頭蓋縫合早期癒合症(Apert症候群、Crouzon症候群、及びSaethre–Chotzen症候群)モデルマウスを用い、離乳後(3-9週齢)における頭蓋の形態変化を幾何学的形態測定法により客観的かつ経時的に評価した。Apert症候群(Fgfr2S252W/+)とCrouzon症候群のモデルマウス(Fgfr2cC342Y/+)は同腹対照マウスと比較して顔面の前下方への伸長に乏しかった。Fgfr2S252W/+マウスの組織学的解析より、離乳期以降に認められる顔面縫合の癒合に加え、頭蓋底軟骨結合の癒合も顔面の前下方への伸長を阻害する一因であることが強く示唆された。一方で、Saethre–Chotzen症候群モデルマウス(Twist1+/-)は同腹対照マウスとほぼ同様の頭蓋成長パターンを示した。さらにTwist1+/-マウスの出生直後から2週齢までの頭蓋と脳の形態変化を同様に解析したところ、Twist1+/-マウスの頭蓋形態は出生直後においてすでに同腹対照マウスと異なっており、冠状縫合が癒合を開始する1週齢では両者の形態差が大きくなった。また2週齢では頭蓋冠後方部を構成する骨間の縫合が大きく離開していた。本研究で示した頭蓋縫合早期癒合症モデルマウスの頭蓋顔面の長期成長パターンは、本疾患の病態の理解を高める上で有用な知見となると考える。