一般社団法人日本学校保健学会第67回学術大会

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メンタルヘルス2(OP-1005~1008)

外ノ池隆史(愛知学院大学)

[OP-1007] 高校生における精神疾患発症時の援助を求める意図の弱さに関連する要因について

松隈誠矢, 東郷史治, 佐々木司 (東京大学教育学研究科身体教育学コース)

【背景・目的】精神疾患は,発症後早期に発見,対処された場合,予後が良く,治療への積極性が高まるが,早期に発見されず,治療につながらなかった場合,症状の重篤化や慢性化につながりやすい .しかし,治療が必要な日本人のうち,20%しか治療を受けていない.本研究では,精神疾患の好発時期である高校生において,援助を求める意図の弱さに対し,どういった要素が関連しているのかを明らかにする.【方法】首都圏公立高校1年生を対象に995名に質問紙調査を実施した.質問紙内では,性別と,自身が発症した際に援助を求める意図の強さ,精神保健・精神疾患に関する知識,疾患の認識能力,対人距離感を測定した.精神保健・精神疾患に関する知識を除く3項目については統合失調症・うつ病・パニック症の3つの模擬事例毎に測定を行った.発症時の援助を求める意図と関連する要因を明らかにするため,重回帰分析を行った.【結果・考察】統合失調症・うつ病・パニック症の3疾患で,自身の発症時の援助を求める意図が女子に比べ男子で有意に低かった.また,うつ病では,模擬事例をうつ病だと認識できないほど援助を求める意図が低い有意傾向があった.パニック症では,偏見に関する尺度の一つである対人距離感が高いほど援助を求める意図が有意に低かった.統合失調症では,性別以外に有意な影響を与える要素はなかった.疾患ごとに援助を求める意図に関わる要素に違いがあり,意図を高めるには疾患毎に違った介入方法を検討する必要がある.