一般社団法人日本学校保健学会第68回学術大会

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一般演題(口演)

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O-15~O-20 健康教育、ライフスキル1

座長:高倉 実(琉球大学)

[O-20] 学校保健から見た学校トイレ内における生理用品無償提供の意味とは ―アクションリサーチからの考察―

杉田 映理1, 小塩 若菜1, 小笠原 理恵1,2, 三浦 遥1, 熊野 海音1, 原 聡美2, 小林 真実1, 山本 べバリーアン1, 山中 浩司1 (1.大阪大学大学院 人間科学研究科, 2.大阪大学大学院 医学研究科)

キーワード:月経、生理用品、学校トイレ

【目的】日本の学校のトイレ内で生理用品を無償提供することにどのような意味があるのか、その仕組みを導入した現場の声から検討する。
【背景】女子生徒に対し生理用品無償提供等の月経対処支援を行う動きは、世界的に広がっている。月経衛生対処(MHM)への支援は、発展途上国の女子教育に月経が負の影響を与えていると認識されたことで、2010年代前半から国際開発においてアジェンダ化していった。先進国でも同様にMHM支援が社会課題となり、特に学校での生理用品無償提供が波及している。日本では、コロナ禍で「生理の貧困」が広く認識されて一部の学校で無償提供が始まっているが、その方法をめぐってはまだ模索段階にある。
【方法】トイレ内で生理用品を1つずつ取れる無償提供用ディスペンサーを開発し、大学内で実証実験を行った後、パイロット校(中学・高校)にディスペンサーを導入した。その利用状況や利用者の声を、オンライン質問票調査やインタビュー等を通じて収集した。
【結果】トイレ内でのディスペンサー設置希望が高く、利用の理由は、突然月経が始まって生理用品の持ち合わせがないから、が最も高かった。休み時間が短く、生理用品を取りに行けない等の問題があった。またトイレ内にあることで安心感がある、月経の辛さに寄り添ってもらっている気がする、等の声もあった。
【結論】学校トイレ内に生理用品があることで女子生徒に「精神的安心感」と「利便性」をもたらし、さらに月経について語りやすい環境づくりとなっていた。