一般社団法人日本学校保健学会第68回学術大会

講演情報

一般演題(ポスター)

オンデマンドプログラム » 一般演題(ポスター)

P56~P61 メンタルヘルス2

座長:渡邉 正樹(東京学芸大学)

[P-56] 子どもの頃の逆境体験と青年期の幸福感、主観的健康感、抑うつとの関連

永久保 涼子1, 辻 大士2 (1.筑波大学 人間総合科学学術院 人間総合科学研究群 スポーツウエルネス学学位プログラム, 2.筑波大学 体育系)

キーワード:逆境体験、抑うつ、ライフコース

【目的】日本の青年期の社会問題となっている自殺や精神疾患において、近年着目される逆境的な子ども時代の体験(Adverse Childhood Experiences: ACE)が原因の一つとして考えられる。しかし、ACEと青年期のメンタルヘルスとの関連は十分に検討されていない。本研究ではACEと青年期における幸福感、主観的健康感、抑うつとの関連を明らかにすることを目的とした。【方法】本研究は、Web調査会社の登録モニターに対しインターネットを利用した募集を行い、18~24の男女428名の有効回答を得た。ACEの調査は7項目の子どもの頃の逆境体験尺度を使用し、該当する経験の合計を算出し、0、1、2、3個以上に分類した。幸福感はとても幸せを10点、とても不幸を0点とする11点で、主観的健康感はとてもよい(1)からとてもよくない(4)までの4件法で、抑うつはK6(0~24点)で評価した。クラスカルウォリス検定を行い有意水準は5%とした。【結果】ACEの分布は0が307人、1が60人、2が27人、3以上が34人であった。各群の主観的健康感の中央値は2、2、2、2.5、K6は9、8.5、9、14点で、4群間に有意差があった。多重比較の結果、0、1個と3個以上の間にいずれも有意差があった。幸福感は有意差がなかった。【結論】子どもの頃の逆境体験を3個以上有すると青年期の主観的健康感が低く、抑うつ傾向が強いことから、子どもの頃に安心できる環境を整えることはその後の青年期の心身の健康に重要であることが示唆された。