第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(ポスター)

動脈瘤1

2014年10月30日(木) 15:20 〜 16:02 第6会場 (第1練習室)

座長: 小林昌義(藤田保健衛生大学医学部 心臓血管外科)

15:20 〜 16:02

[P-1-7] 総肝動脈瘤の1手術例

森田雅人1, 迫秀則1, 高山哲志1, 岡敬二1, 平林康宏2, 佐藤博2 (1.大分岡病院 心臓血管外科, 2.大分岡病院 外科)

キーワード:common hepatic artery, aneurysm

今回我々は総肝動脈瘤に対して,瘤切除と直接端々吻合を用いて治癒し得た1例を経験したので,これを報告する。症例は59歳の男性。検診を契機に総肝動脈瘤,上腸管動脈限局解離,胆石症,慢性胆嚢炎を指摘され当院を紹介となった。造影CT,腹部血管造影検査,MRCPを実施し径28x43mmの紡錘形の総肝動脈瘤を認め,動脈瘤末梢より固有肝動脈,右胃動脈,胃十二指腸動脈が分岐していることを確認した。また胆石症に伴う慢性胆嚢炎を認めていた。術中所見は画像診断と合致しており,バイパスグラフトを使用した血行再建も考慮したが,固有肝動脈と胃十二指腸動脈の端々吻合が可能であったためこれを実施し,総肝動脈中枢側は瘤の内部から縫合閉鎖した。また術後の胆嚢虚血とそれに伴う胆嚢炎増悪が危惧されたため同時に胆嚢摘出術も行った。術後は一過性の部分的肝血流低下と,それに伴う肝機能の悪化を認めたが,すぐに改善し良好な結果が得られた。肝動脈瘤の治療方針としては,外科的手術や血管内治療の報告があり,動脈瘤の局在により治療方針が決定される。総肝動脈レベルでの動脈瘤に関しては単純切除を行っても右胃動脈や上腸管動脈アーケードを介して肝流血流が維持されるとの報告があるが,今回は総肝動脈瘤の末梢より分枝が分岐しており,単純切除のみの術式によっては肝虚血による肝不全が危惧された。よって肝血流を維持するために,今回のような術式を選択することにより肝血流を担保し良好な結果が得られた。