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[P-12-2] 胸部大動脈瘤―食道瘻に対して,2回のTEVARと2回の上行弓部下行大動脈置換術を施行した症例
キーワード:TEVAR, PET
症例は,50歳代女性。胸痛,嚥下困難,少量の吐血を主訴に,近医を受診した。上部消化管内視鏡検査及び造影CT検査で,胸部大動脈瘤-食道穿破と診断され,当院紹介となった。同日,緊急TEVAR(TAG)を施行した。血行動態は安定したものの,ステントグラフト感染による炎症所見の増悪を認めたため,食道切除,胃部分切除,頸部食道瘻,胃瘻造設に加え,大網充填術を施行した。術後,Type1エンドリークから出血性ショックとなったため,緊急追加TEVAR(VALIANT)を施行した。その後,MRSA感染が拡大し,Type1エンドリークによる胸腔内出血による急速な呼吸不全が進行したため,ステントグラフト除去し,上行弓部下行大動脈置換術を施行した。MRSA敗血症性ショックに陥ったものの軽快し,歩行可能まで回復した。しかし,MDRP菌血症による発熱を繰り返すため,PETを施行したところ,人工血管周囲に集積を認め,MDRP人工血管感染と診断し,リファンピシン浸漬人工血管を用いて,再上行弓部下行大動脈置換術を施行した。術後経過は,良好で,現在病棟でリハビリテーション中である。大動脈-食道瘻は極めて予後不良の疾患であり,TEVARによるBridge to surgeryで救命率がより向上するとの報告もあるが,今後の治療成績の向上のためには,適切な時期に手術介入が必要と考えられた。PETは人工血管感染の診断に有用であった。