第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(ポスター)

動脈瘤1

2014年10月31日(金) 13:52 〜 14:22 第7会場 (第2練習室)

座長: 蔡景襄(JR仙台病院 外科)

13:52 〜 14:22

[P-26-3] 成人期大動脈縮窄症に合併した肋間動脈瘤に対して血管内治療を施行した1例

広上智宏1, 渋谷圭2, 熊坂創真2, 小池則匡1, 茂原淳1, 小山佳成2, 高橋徹1, 竹吉泉1 (1.群馬大学大学院 臓器病態外科学, 2.群馬大学大学院 放射線診断核医学・画像診療部)

キーワード:aortic coarctation, intercostal aneurysm

大動脈縮窄症の成人期においては,その病態から側副血行路が発達する。今回われわれは,側副血行路である肋間動脈の一部が動脈瘤化した病変に対しコイルを用いた血管内治療を施行した症例を経験したので報告する。症例は37歳女性。2014年4月,胸部単純写真で縦隔腫瘍が疑われたため前医でCTを施行されたところ,大動脈縮窄症に伴う側副血行路が動脈瘤化した右肋間動脈瘤と診断されたため,当科に紹介された。当院で施行した4D-CTでは右鎖骨下動脈から分岐する拡張蛇行した側副血行路が瘤の流入路となっており,右肋間動脈を介して下行大動脈に流出していることが判明した。動脈瘤径は27mm大であったため,破裂の危険性を考慮して同病変に対する血管内治療を根治手術に先行して行う方針とした。まず右上腕動脈のシースから右鎖骨下動脈から分岐する流入血管を選択し順行性のアプローチを試みたが血管の蛇行が強く動脈瘤への到達が困難であったため,逆行性のアプローチに変更した。右大腿動脈のシースから流出経路の肋間動脈を選択し,動脈瘤を通してマイクロカテーテルを逆行性に流入血管まで誘導することに成功した。コイルを用いて流入血管を塞栓し,瘤内にも複数本のコイルを留置した後に流出血管も塞栓した。流入血管からの造影で動脈瘤の造影効果が消失し主要な側副血行路が温存されていること確認した。術後経過は良好であった。今後大動脈縮窄症の根治術を行う方針である。大動脈縮窄症に伴う側副血行路の動脈瘤に対して血管内治療を行った報告はこれまで稀であり,若干の文献的考察を加え報告する。