第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(ポスター)

動脈硬化1

2014年10月30日(木) 16:32 〜 17:08 第6会場 (第1練習室)

座長: 冨山博史(東京医科大学 第二内科)

16:32 〜 17:08

[P-3-1] 胸部大動脈手術例におけるEPA/AA比,血清脂質値と併存動脈硬化病変の検討

大倉一宏, 椎谷紀彦, 山下克司, 高橋大輔, 津田和政, 神藤由美 (浜松医科大学 第一外科)

キーワード:fatty acid level, thoracic aortic patient

【目的】EPA/AA比低値は動脈硬化病変の指標であり,冠動脈プラークスコアやイベント発生と相関があることが知られている。胸部大動脈手術例における術前EPA/AA比,血清脂質値と併存する動脈硬化病変につき検討した。【対象と方法】2011年1月から2014年3月までの胸部大動脈手術221例のうち,EPA製剤内服7例,緊急手術54例,脂肪酸検査未施行17例を除き,同一期間内複数回手術例10例を含む140手術例(平均年齢70歳,男性104例)を対象とし,冠動脈狭窄,頚動脈狭窄,頭蓋内動脈狭窄,PAD,他部位動脈瘤合併,動脈瘤形態,慢性解離手術,大動脈粥腫の重症度,EPA/AA比および術前HDL,LDL,L/H比,中性脂肪値につき検討した。【結果】EPA/AA比は0.41(65歳以上標準値0.68),HDL,LDL,中性脂肪,L/H比はそれぞれ,48,107,134 mg/dl,2.4(年齢標準値66,115,108,1.74)であった。標準値と比較しEPA/AA比とHDLは低値,中性脂肪とL/H比は高値を示したが,互いに相関は認めなかった。併存病変別(冠動脈狭窄・頚動脈狭窄・頭蓋内狭窄・PAD・他部位の動脈瘤)では,HDL値が冠動脈および頚動脈狭窄例で低値,L/H比が頚動脈狭窄例で高値を示した。成因,形態,粥腫重症度別(Katz分類)では,L/H比が嚢状瘤で高値を示した。【結語】胸部大動脈手術例のEPA/AA比とHDL値は年齢(65歳以上)標準値と比較して低く,L/H比は高値であった。HDL値やL/H比は併存動脈硬化病変や病変性状の指標となり,術前スクリーニングに有用と考えられたが,EPA/AA比はこれらを反映せず,意義は不明である。