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[PD-1-4] 当院における血管内レーザー焼灼術の合併症対策 ∽術式と術後管理法の工夫∽
キーワード:Endovenous laser ablation, complication
現在,血管内レーザー焼灼術(Endovenous laser ablation:以下EVLA)は本邦での導入施設約240箇所において年間約2万件以上に行われるようになった。本治療は従来に比し最小創で短時間かつ安全に行えることから導入医療機関も増えてきている。しかし,当初保険適用となった980nmELVeSレーザーでは術後疼痛やつっぱり感が多く患者にとって快適な治療とならない場合がある。そこで,当院では本合併症が生じやすい部位を積極的に切除する術式工夫やレーザー治療に連続して小切開創で部分ストリッピングを迅速可能とするSheath Through Stripper(以下STS)を開発した。また,術後ストレッチ励行など術後管理上の工夫も行ってきたので今回検討し報告する。対象は2011年2月から2014年5月までに当院でEVLA施行した伏在型一次性下肢静脈瘤1535例(男:女=466:1069)2889肢(右:左=1397:1492,GSV:SSV=2504:385)。患者平均年齢66.2歳。自発呼吸維持マスク換気下冷却TLA麻酔下,アプローチ全肢穿刺法。Stub avalusion法分枝瘤切除2622肢(90.8%)。STS使用92肢(3.2%),平均部分ストリッピング長21.0±5.0cm。STS非使用下部分切除147肢(5.1%)。術後管理はレーザー治療部位ストレッチ励行およびステロイド外用薬塗布,疼痛部位可及的冷却を行うよう指導した。全く疼痛を感じなかったものは対策導入前後で74.7%:72.2と大きな差は無かったが,疼痛発生後にストレッチや冷却を励行すると鎮痛効果が認められた。以上,EVLAの術式や術後管理上の工夫は患者にとって比較的快適な経過をもたらすと思われたが,ある一定の限界が存在し,水吸収性波長レーザー機器や改良型ファイバーによる治療開始が望ましいと思われた。