第55回日本脈管学会総会

講演情報

会長要望演題

間歇性跛行の運動療法

2014年10月30日(木) 16:40 〜 17:30 第3会場 (202会議室)

座長: 杉本郁夫(愛知医科大学 血管外科)

16:40 〜 17:30

[PR-12-5] 当センターにおける監視下運動療法の現状と課題

林富貴雄 (大阪府立急性期総合医療センター 血管内科)

キーワード:intermittent claudication, supervised training

【はじめに】最近患者本位でないPAD治療の実態調査で,無症候性PADに対する血行再建術が問題となっているが,間欠性跛行に対する治療においても治療の選択肢を明示せずに医師主導で血行再建術を行うケースが見られる。TASCでは間欠性跛行治療の第一選択として,薬物療法とともに監視下運動療法を推奨している。わが国では2008年から心大血管リハビリテーション対象疾患として保険診療が可能となったにもかかわらず未だ実施施設は少なく,運動療法の有用性が広く認識されているとは言いがたい。当センターでは2008年から心大血管リハビリテーション施設基準1を取得して監視下運動療法(血管リハ)を行っており,その現状と今後の課題について報告する。また血管内治療やバイパス術を施行されたが最初から運動療法を選択すべきと考えられた症例を提示する。【対象と方法】対象は外来患者で心血管リハビリテーション実施件数は2008年301,2009年668,2010年548,2011年587,2012年773,2013年852件であった。2011年からは心筋梗塞のリハビリテーションとの合計件数となっている。血管リハはトレッドミルを用いた歩行訓練で,TASCに準拠した方法で実施している。【治療成績】運動療法開始前と3ヶ月後に歩行距離を評価出来た症例での最大歩行距離は353±219mから897±303mへと増加した。運動療法施行中のイベント発症例は認めなかった。【今後取り組むべき課題】従事者一人あたりの患者数は医師が20人看護師8人まで可能であり,どれだけ患者数を確保出来るかが課題といえる。PADの併存疾患は,糖尿病,高血圧,脂質異常症と多岐にわたることから,関係他科や地域医療機関との連携が重要となる。