第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター25群 患者の回復と生活の質の改善に向けた看護①

2022年11月9日(水) 12:40 〜 13:40 ポスター会場 (国際展示場)

座長:大柴 幸子

[ポスターM-25-5] 地域住民を対象とした精神看護専門看護師によるメンタルヘルス相談会の効果と課題

田中 友康, 北野 進, 藤原 雅司, 高橋 寛光 (東京都立松沢病院)

キーワード:地域住民、看護相談、メンタルヘルス、精神看護専門看護師、オンライン

【抄録】
【目的】地域住民を対象とした精神看護専門看護師によるメンタルヘルス相談会の効果と課題を明らかにする。【方法】A 病院の精神看護専門看護師(以下:CNS)による地域住民を対象とした個別のメンタルヘルス相談会を202X 年Y 月~+ 7 ヶ月間に対面とオンラインの各1 回実施した。14 名の研究対象者に相談終了後、自記式質問票調査(相談対応への満足度:CSQ8-J、精神健康度:GHQ12)と相談対応したCNSが相談支援内容を記録した。CSQ8-J のスコア範囲は4 ~ 32点で高いほど満足度が高いことを表し、GHQ12 のスコア範囲は0 ~ 12 点でカットオフ値は4 点に設定した。CSQ8-J とGHQ12 は記述統計を行い、相談支援の記録は研究者間で内容を分析した。倫理的配慮:自由意思による研究および結果の公表について書面と口頭で同意を得た。【結果】対象者の属性は男性4 名、女性10 名。年代別は30 代1 名、40 代2 名、50 代3 名、70 代以上が8 名であった。相談対応時間の平均は28 分。CSQ8-J の平均は27 点(SD ± 2.7)であり概ね満足度は高かった。GHQ12 は5 名が4 点以上であり最も高い点数は10 点であった。相談内容は、〈単身生活に伴う孤独と寂しさ〉〈活動や気力の低下〉〈精神的な不調〉〈家族の精神的な不調への対応〉〈対人関係の悩み〉であった。CNS は傾聴と共感のスキルを用いながら、精神健康度、精神機能、セルフケア理論の視点から、対象者の中心的な問題や課題をアセスメントした。また、対象者の取り組みや考えを是認するとともに、認知行動理論に基づいた関りにより出来事に対する感情の表出・理解に働きかけていた。さらに、疾患や症状に関する心理教育、家族への関わり方や具体的な対処方法を助言し、精神科医療が必要な対象者は、A 病院への受診や看護外来での継続支援につなげることができた。【考察】CNSによる地域住民への個別の相談支援は、相談対応への満足度が高かったことから、対象者のニーズに沿った効果的な実践であったと考える。また、A 病院に勤務するCNS が近隣地域に出向いて個別相談に対応することは、何らかの医療や支援が必要な住民が適切に精神科医療につながる機会になると考える。一方、〈家族の精神的な不調への対応〉など家族からの相談ケースは、当事者に具体的な支援を提供するためにも他機関との連携が課題である。